お葬儀の豆知識
直葬・火葬式とは?事前に理解することやメリット・デメリット、式の流れや注意点も解説
・直葬(火葬式)とは?
・直葬(火葬式)の流れは?
・直葬(火葬式)のメリット・デメリットは?
直葬(火葬式)は火葬場で全ての儀式を執り行う、ごくシンプルな葬儀形式です。
新しい形ながら、高齢化が進む日本でニーズが急増しています。
火葬のみで済ませるため、高齢の喪主やご遺族、参列者にも助かるでしょう。
本記事を読むことで、直葬(火葬式)とはどのような葬儀か?直葬(火葬式)の流れやメリット・デメリット、注意点が分かります。
直葬とは?
◇「直葬(火葬式)とは、火葬のみを行う葬儀です
「直葬(火葬式)」では、近年ニーズが急増している葬儀形式で、故人を偲ぶ通夜や告別式などの儀式を省いて、火葬場で火葬のみを執り行います。
基本的にはご家族や親族など身内のみが集まり、心を込めて執り行われます。
[葬儀はごくシンプル]
・ごく近しい身内のみが参列
・火葬場のみで執り行う
・火葬場で故人との別れ[宗教的儀式の自由]
・読経供養など
直葬(火葬式)でも、火葬炉の前で読経供養を行う葬儀が多くありますが、読経供養のあるなしは、ご遺族の判断に委ねます。
直葬(火葬式)は比較的短時間で行われ、参加者の人数もごくわずかとなることが一般的です。
直葬(火葬式)を行う理由
◇高齢化によって負担の少ない葬儀が求められています
かつては、身寄りのない人や経済的に困窮している人のための福祉的サービスとして提供されていました。
けれども高齢化の影響で故人様の人間関係が途切れ、参列者が減ってきたため、身内だけでの弔いとして、ニーズが急増しています。
●式の準備にかかる手間と時間を省く
・喪主と故人の関係が希薄
・近所付き合い、親戚付き合いの希薄化
・参列者がごく少数
・経済的に安く済ませたい
・葬儀の形式にこだわりがない(無宗教など)
また沖縄では、そもそも菩提寺との関係性が薄いこともニーズが高い理由です。
直葬は火葬のみを行うので、通夜や告別式の準備は必要ありません。
少人数で行うため、参列者への挨拶や受付係の手配なども不要です。
また参列者もごく身内のみとし、会食などもてなしの場を設けません。
一般葬では、喪主や遺族が参列者に応対したり会食の席で接待したりしなければなりませんので、大きな負担がかかります。
宗教的儀式の自由
◇直葬(火葬式)では読経供養や焼香を省く葬儀も多いです
読経供養や焼香を行う一般葬では、僧侶の手配や参列者への連絡など、事前の準備も大変です。
直葬(火葬式)でも、火葬炉の前で読経供養やお焼香はできますが、無宗教や極力費用を抑えた葬儀を望む場合、宗教的儀式を一切省く葬儀もあります。
●宗教者による儀式がない
・僧侶の手配が必要ない
・僧侶へのお布施がいらない
・祭壇がいらない
・時間の短縮
(お焼香がない)
一般葬では悲しむ間もなく準備する必要があるため、遺族の精神的負担は非常に大きくなりますが、直葬は準備が簡単なので、多忙な方々が多い現代のニーズに合っていると言えます。
喪主や参列者と故人との関係性が非常に希薄な葬儀もふえました。
このような場合には、故人とのお別れも、火葬前に数分というケースもあります。
直葬の流れ
◇ご逝去後、24時間経ってからの火葬です
法律上、故人のご逝去から24時間以上が経たなければ火葬ができません。
そのため直葬(火葬式)でも、24時間はいずれかの場所でご遺体の安置が必要です。
病院の霊安室は利用時間に限りがあるため、ご自宅への搬送も可能ですが、ご遺体は一般的に葬儀社から案内される安置場所に搬送されます。
・葬儀社との打ち合わせ
・納棺の儀式
・出棺の儀式
・火葬(火葬場)
・骨上げ(火葬場)
一般的な直葬(火葬式)の流れは上記の通りです。
病院の霊安室で葬儀社を決める間に、直葬(火葬式)で後悔しないか、改めて確認をして葬儀形式を決めましょう。
葬儀社との打ち合わせ
◇火葬を待つ24時間の間に、葬儀社との打ち合わせです
一般的には安置場所に搬送された後、葬儀社と打ち合わせをします。
ここで読経供養など宗教的儀式を行うか、納骨まで依頼するか、などの打ち合わせをしましょう。
火葬式で良いか悩んだり迷ったりした場合は、まずは葬儀社に相談します。
納棺の儀式
◇遺体に死装束や、故人が好きだった服装を着せて棺に納めます
葬儀社の専門スタッフが納棺を担当し、遺族の方々は立ち会う流れが一般的です。
棺には副葬品として、一緒に思い出の品を入れることもできます。
ただ不燃物は棺に入れることができません。
棺と一緒に入れる副葬品には規定があるため、事前に葬儀社にご確認ください。
出棺の儀式
◇安置所から火葬場まで、ご遺体は葬儀社が搬送します
直葬(火葬式)は、ご遺体の安置期間が1日分(24時間)付いているプランが基本です。
そのため24時間後には火葬、もしくは追加料金を払い安置期間の延長となります。
安置所から火葬場まで葬儀社から霊柩車を出してくれるプランが多いので、ご遺族は一緒に火葬場へ向かう、もしくは時間と場所を確認し、現地に向かっても良いでしょう。
火葬(火葬場)
◇火葬には1~2時間掛かります
遺体が火葬場へ到着した後、最後にお別れをして火葬を行います。
葬儀社に相談すると、僧侶を手配し火葬の間に火葬炉前で読経供養も可能です。
ただし直葬(火葬)プランによっては、追加料金が掛かるでしょう。
一般的に火葬には1~2時間ほど掛かるため、同行者は控室で待機します。
必要があれば、火葬を待つ間、控室でのお茶請けなどをふるまいましょう。
骨上げ(火葬場)
◇火葬が終わったら、骨上げの儀式を行います
火葬が終わった後、同行者は最後に「骨上げ」の儀式を行う流れが一般的です。
遺骨を骨壺に納める際、ご遺族や故人を偲ぶ人々が共に骨を拾い骨壺に納めます。
<骨上げの仕方> | |
[並び方] | ・喪主・故人と血縁の深い順番 ・両脇に二人ずつ |
[骨上げの仕方] | ①専用の箸を使う ②両脇の二人が、箸でご遺骨を挟む ③そのまま骨壺に入れる |
最初は足の方の骨から骨壺に納め、最後に喉仏を乗せる流れが骨上げの作法です。
※地域によって慣習が異なるケースもあるため、火葬場のスタッフの指示に従ってくだだい。
直葬を決める前に理解したいこととは?
◇直葬(火葬式)プランは、サービス内容と費用を総合的に見て選びます
ニーズが急増している一方、火葬炉前での読経供養の有無など、葬儀の形式としては葬儀社やプランによって違いがあり、それに伴い費用の幅が広い傾向です。
そのため費用に含まれるサービス内容を事前に確認する必要があります。
<直葬(火葬式)プランの費用目安> [費用目安]約10万円台~40万円以上 |
|
[確認事項] | |
●ご遺体の安置 | ・安置室までの搬送 ・ご遺体安置の日数 (1日が一般的) ・枕飾り ・位牌など ・安置用布団 |
●火葬 | ・霊柩車(火葬場まで) ・読経供養 ・祭壇の有無 ・供物 |
●その他 | ・納骨同行の有無 ・手続き代行 ・アフターサポート |
…などについて、ご遺族側の希望をまとめて、葬儀社の直葬(火葬式)プランからサービス内容をチェックした後、決定すると良いでしょう。
サービス内容に含まれないものは追加料金が発生するため、打ち合わせで確認をした後、総費用を改めて出してもらい、最終決定を行います。
直葬のメリット
◇直葬(火葬式)のメリットは、負担が軽減される点です
直葬(火葬式)を選ぶことで、喪主や参列者の負担が大きく軽減されます。
故人が高齢で、参列者もまた高齢の場合、葬儀全体の時間が大幅に短縮されるため、喪主ばかりではなく、参列者の負担も軽減できるでしょう。
また直葬(火葬式)の場合、香典辞退の選択が多く、香典への返礼品やふるまいへの費用も掛かりません。
<直葬(火葬式)のメリット> | |
①費用負担の軽減 | ・祭壇 ・葬儀会場 ・遺影 ・参列者へのふるまい ・返礼品 |
②時間の軽減 | ・葬儀時間の短縮 (火葬時間3時間ほど) ・移動の軽減 |
③精神的負担の軽減 | ・打ち合わせが少ない ・参列者への接待がない ・受付係がない ・弔辞や献杯がない |
直葬(火葬式)でも、僧侶を手配して火葬炉で読経供養を依頼する喪主やご遺族が多いですが、読経供養など宗教的儀式も行わない直葬(火葬式)であれば、お布施や僧侶への配慮による精神的負担も軽減されます。
直葬のデメリット
◇故人とのお別れの時間は5分~10分ほどです
直葬(火葬式)では、故人とのお別れの時間が一般的に火葬前の5分~10分ほどと短く、「充分なお別れができない」と後悔するご遺族もいます。
また新しい葬儀の形なので、親族や故人の知人友人から理解を得られないまま、トラブルに発展するケースもあるでしょう。
<直葬(火葬式)のデメリット> | |
①お別れの時間が短い | ・5分~10分ほど ・儀式が短縮されている ・立ち会えない人も多い |
②親族からの理解が必要 | ・新しい形で理解を得にくい ・参列者の範囲が限られる ・後から苦情が来るリスク |
③自宅へ弔問客が来る可能性 | ●訃報ハガキで弔問辞退もできる ・ご逝去14日以内には訃報を知らせる ・ご香典の受け取り可否は明瞭に伝える ・ひとりひとりへの対応が必要 |
直葬(火葬式)のデメリットのほとんどは、親族や故人の友人知人への対応です。
ごく身近な数人のみで直葬(火葬式)を執り行うため、なかには「お別れに立ち会えなかった」と苦情がきたり、ひっきりなしに弔問客が訪れる可能性もあります。
対策としては故人が亡くなってから14日以内には、関係者に訃報ハガキを送り、直葬(火葬式)を行った事情とともに、弔問・香典辞退の有無を明瞭に伝えましょう。
苦情が出そうな親族には、事前に伝えることが得策です。
・事前に対策したい、直葬(火葬式)に多い5つのトラブルとは?後悔しないポイントも解説
直葬の注意点
◇直葬(火葬式)でも24時間は火葬ができません
直葬(火葬式)を選んでも、日本では法律上、人が亡くなってから24時間は火葬ができないため、基本的に自宅や安置所でのご遺体の安置が必要です。
病院で亡くなった場合、病院内の霊安室にご遺体は運ばれます。
けれども病院の霊安室は3時間~24時間ほどしか利用できず、この間にご遺体は搬送しなければなりません。
<直葬(火葬式)の注意点> | |
①読経供養を行う場合 | ・僧侶へのお布施は別途用意する (当日、現金をお布施として包む) |
②その他 | ・ご遺体の安置は必要 ・寺院墓地では納骨できないことがある (公営墓地や民間霊園に相談) ・高齢の親族から強く反対される可能性 |
特定の寺院を信仰する「檀家制度」が根付いていない沖縄では、あまり多くはありませんが、寺院墓地にご遺骨を納骨する場合、直葬(火葬式)を行うと、納骨を拒否される事例もあります。
この場合は宗旨宗派不問の公営墓地や民間霊園での納骨も検討しましょう。
またかつては福祉サービスの位置づけにあった直葬(火葬式)に、あまり良いイメージを持たない高齢の親族も少なくありません。
事前に故人の遺志など、事情を説明して理解を得ておくと良いでしょう。
まとめ:直葬(火葬式)は負担を軽減する葬儀です
近年ニーズが急増する直葬(火葬式)は、火葬場で葬儀を済ませる形式です。
喪主やご遺族の希望によって火葬炉前での読経供養やお焼香もできますが、一切の儀式を執り行うことのない、シンプルなものもあります。
火葬後のご遺骨は、故人と喪主の関係性によっては、火葬場で遺骨を受け取らずに帰る「0葬」(火葬場や地域によっては不可)も選択できますが、そのまま当日にお墓へ納骨するご遺族も多いです。
火葬を行うためには役所で死亡届を提出し、「火葬(埋葬)許可証」を受け取る必要があります。
役所で発行された「火葬(埋葬)許可証」を火葬場でお渡ししますが、葬儀社で手続き代行も請け負ってくれる業者もあるでしょう。
葬儀に熟練した葬儀社スタッフは、とても便りになる存在です。