お葬儀の豆知識
納骨式に参列するマナーとは?香典相場や服装マナー、参列できない時の対処を詳しく解説
・納骨式とは?
・納骨式に参列する服装は?
・納骨式に香典は持って行く?
「納骨式」とは、名前の通り故人の遺骨をお墓などに納める式です。
沖縄では葬儀の後、近親者のみ残って納骨式を行いましたが、近年では全国的な風習に倣い、四十九日法要を目安に行う家も増えました。
本記事を読むことで、納骨式に参列する時の服装や持ち物マナーが分かり、お悔みの気持ちを誠実に伝えることができます。
納骨式とは?
◇「納骨式」とは、故人の遺骨をお墓や納骨堂などに納める儀式です
一般的に納骨式の案内を受ける人々は、故人と近しい関係性にあるでしょう。
全国的に納骨式は四十九日法要の後に行うタイミングが多いですが、沖縄では葬儀当日に、身近の人々のみで納骨式を済ませる風習があります。
<納骨式とは:行うタイミング> | |
・葬儀当日 | 忌中・喪中 |
・四十九日法要当日 | 忌中・喪中 |
・四十九日法要の後 | 忌明け・喪中 |
・一周忌法要の後 | 忌明け・喪明け |
葬儀後に納骨式を済ませるなら、そのままの服装で納骨式に参列すれば良いでしょう。また四十九日法要の後に納骨式まで行う場合も、法要の服装で参列します。
ただ納骨式の参列で戸惑うのは、納骨式を単独で行う場合です。
納骨式に参列する時の服装やマナーは、忌中か忌明けか、喪中か喪明けかで変化します。
・沖縄の納骨式ならではの5つのしきたりとは?沖縄と本州で違うお供え物は?
「忌中」とは?
◇「忌中(きちゅう)」とは、故人が亡くなってから四十九日間です
仏教では故人の霊は、亡くなってから四十九日の間、冥土の道を辿るため、まだ成仏していない「霊」の状態だとされます。
・忌中…四十九日までの期間
・忌明け…四十九日の忌中が明けたことを差す
また沖縄の祖霊信仰は神道に近い考え方で、「死は穢れ」です。
忌中の遺族は「死に穢れている」とし、他家の人々へ死の穢れを移さないよう、贈り物などを控えて慎む期間です。
「喪中」とは?
◇「喪中(もちゅう)」とは、故人が亡くなってから1年の期間です
喪中はご遺族が故人を想い偲んで、喪に服す期間を差します。
喪に服する喪中は、忌中とは違い故人との関係性によって期間が変わりますが、ご遺族の想いを汲んで、一般的に最も長い約1年が目安です。
●故人との関係性で違う、喪中の期間
・両親…1年
・子ども…3ヶ月~6ヶ月
・祖父母…3ヶ月~6ヶ月
・兄弟姉妹…1ヶ月~3ヶ月
友人知人や叔父叔母・伯父伯母などの親族には喪中がありません。
ただ納骨式は、遺族の喪中に合わせた服装や香典マナーで整えます。
・沖縄で納骨式までに施主が行う5つの準備とは?いつ・どこで行うのが良い?
忌中の納骨式マナーは?
◇四十九日の忌中に納骨式を行う場合、香典や服装マナーは、葬儀に倣います
四十九日の忌中に行う納骨式では、お通夜や葬儀での参列マナーに倣い、服装や香典を準備すると良いでしょう。
全国的な風習に倣うと四十九日法要当日の納骨式が多いですが、この場合も忌中の服装・香典マナーに倣います。
[服装]準喪服(葬儀の服装)
・男性…ブラックスーツ
・女性…ブラックのアンサンブルやワンピースなど
[香典]表書きは「御霊前」
・全国的な香典相場(友人知人)…約5千円~1万円
・沖縄式の香典相場(友人知人)…約1千円~3千円
成仏していない霊の御前を「御霊前」と呼び、ご遺族も物事を慎む期間です。
そのため四十九日前の納骨式では、御霊前に香典を供えるとし、表書きも「御霊前」となります。
・納骨式の香典で包む金額はいくら?表書きや包み方マナー、渡すタイミングは?
忌明け後の納骨式マナーは?
◇忌明けを過ぎた納骨式では、香典の表書きが「ご仏前」になります
四十九日の忌中を過ぎて納骨式を行う場合、参列者が準備する香典の表書きは、成仏した故人の霊に向けて供える「ご仏前」です。
ただ忌中を過ぎた「忌明け」でも、喪は明けていないので、服装は準喪服に倣います。喪が明けるのは故人が亡くなってから1年です。
[服装]準喪服(葬儀の服装)
・男性…ブラックスーツ
・女性…ブラックのアンサンブルやワンピースなど
[香典]表書きは「ご仏前」
・全国的な香典相場(友人知人)…約5千円~1万円
・沖縄式の香典相場(友人知人)…約1千円~3千円
忌明け後に行う納骨式は、故人が亡くなってから百日目の「ヒャッカニチ(百か日)」法要と合わせて行うケースがあります。
ヒャッカニチ(百か日)で行う納骨式
◇ヒャッカニチ(百か日)はごく近しい身内のみの、小さな規模で行う法要が一般的です
そのため葬儀に参列する際の服装「準喪服」をカジュアルダウンした「平服」での参列もあるでしょう。
ご遺族とも近しい人が多いため、服装については相談しても良いかもしれません。
・法事で案内される「平服」とは?喪服との違い、何を着ればいい?注意点を解説
喪明け後の納骨式マナーは?
◇喪明け後の納骨式では、準喪服をカジュアルダウンした平服での参列が多いです
故人が亡くなってから1年が過ぎ、喪が明けてからの納骨式では「平服」で参列する人が多くいます。ダークスーツや落ち着いた色で質素にまとめでください。
[服装]平服
・男性…無地のダークスーツ
・女性…落ち着いた色のアンサンブルやワンピースなど
[香典]表書きは「ご仏前」
・全国的な香典相場(友人知人)…約5千円~1万円
・沖縄式の香典相場(友人知人)…約1千円~3千円
喪明け後の納骨式では、お墓を建てていたり、納骨堂を契約したなど、新たに準備した場所に納骨するケースが多いです。
新しいお墓などは僧侶による開眼供養が行われるので、カジュアルになりすぎない服装を心掛けると良いでしょう。
喪服のかりゆしウェアーで参列
◇沖縄では喪中・喪明け関係なく、喪服のかりゆしウェアーを着用する人は少なくありません
特に暑い気候の4月~11月であれば、喪服用のかりゆしウェアーを選んでも失礼にはならないでしょう。
・沖縄の葬儀は、喪服がかりゆしウェアーでも良い?夏場の葬儀に参列する5つの服装マナー
納骨式に参列する注意点
◇納骨式は墓前で行う儀礼です。墓地が辺境にある場合は、安全を優先します
沖縄の墓地は個人墓地が多く、中には山林のなかなど辺境地にあるお墓も少なくありません。納骨式をこのような墓地の墓前で行う場合、パンプスや革靴では危険が伴うこともあります。
・辺境の墓地では、足元はスニーカーなどでも良い
・水やタオルなど、墓地までの道のりに配慮する
・夏場は虫よけスプレーなど、虫対策をする
反対に高齢の人々や未就学児など、辺境の墓地で危ない時には、事情を話して納骨式の参加を辞退するのも良いでしょう。遺族もきっと分かってくれます。
納骨式を辞退するマナー
◇納骨式を辞退する場合には、分かった時点で早めに伝えます
納骨式では法要の後に会食の場を設けていたり、仕出し弁当を振る舞う施主も多いため、参列できないことが分かった時点で早めに伝えてください。
・できるだけ早めに伝える
・SNSやメールは避ける
・親しい間柄でも丁寧な言葉を心掛ける
SNSやメールは読まれない可能性もあるので、直接伝える方が安心です。
ごく近しい関係性であれば率直に納骨式辞退の理由を伝えても良いですが、関係性によっては、「やむを得ない事情で、申し訳ございません。」など、オブラートに包んだ表現でも良いでしょう。
納骨式を辞退:香典の渡し方
納骨式を辞退する時には、何らかの方法で香典を渡します。
納骨式の香典を郵送する場合には、現金なので現金書留での郵送です。
香典袋が入る大きさの現金書留封筒があるので、こちらを利用してください。
・後日、ご自宅へ弔問して渡す
・郵送する
・代理人に託す
代理人に託す場合、香典の表が変わるので注意をします。
・代理人が配偶者の場合…香典の左下に小さく「内」と書く
早くに納骨式の辞退が分かったならば、当日にお線香や渇き菓子などの供物を贈るのも良いです。
供物も忌中であれば「御霊前」、忌明け後は「ご仏前」で準備します。
納骨式はひとつの区切りです
納骨式は遺族にとって、大切なひとつの区切りです。
大切な家族を亡くした喪失やショック「グリーフ」に悩む人のなかには、なかなか遺骨を納骨できない人もいます。
通夜や葬儀ではありませんが、忌中や喪中に行う納骨式も多いため、遺族の人々に配慮しながら、言葉は少なく、丁寧な供養でお悔みの気持ちを伝えましょう。
・忌み言葉とは?葬儀で避けたい忌み言葉一覧をチェック!言い換えも併せて解説