お葬儀の豆知識
葬儀保険とは?生命保険や互助会との違いやメリット・デメリット、選び方や注意点は?
・葬儀保険とは?
・葬儀保険のメリット・デメリット
・葬儀保険の選び方は
「葬儀保険」とは、亡くなった人の葬儀やその周辺の費用を補償する保険です。
生命保険の死亡保障とは異なり、具体的な葬儀に必要な手続きや費用をサポートする保険制度となっています。
本記事を読むことで、葬儀保険の基本的な仕組みや選び方が分かります。
葬儀保険と生命保険の違いや、葬儀保険を利用するメリットやデメリットについても解説していきますので、葬儀保険についての正しい知識を身につけ、家族の将来に備えていきましょう。
葬儀保険とは
◇「葬儀保険」とは、葬儀費用のサポートに特化した保険です
「葬儀保険」は、お寺に支払われるお経や戒名、お布施などの費用や火葬場費用など、葬儀に関連するさまざまな出費に特化した「少額短期保険」です。
では「少額短期保険」とは、一定の範囲内を賄う保険で、保険金額の上限が1,000万円以下に定められています。
●保険金額が1,000万円まで
・加入要件が緩い
・保険料が手頃
・保険金の支払いが早い
2020年の調査結果によると、一般的な葬儀費用相場は約184万円です。
また葬儀後にお墓を建てることも考えると、お墓の建立費用相場は約175万円ほどですので、負担も大きくなります。
故人の預貯金から支払うことはできますが、故人の口座が凍結していることもあり、喪主や遺族が立て替える葬儀も多いでしょう。
いざと言う時に供えて、葬儀費用だけでも補填できる葬儀保険は今、多くの人々に注目されています。
・鎌倉新書2020年実施「第4回お葬式に関する全国調査」
葬儀保険に向いている人
生命保険の死亡保障でも葬儀費用の補填はできますが、葬儀保険の手軽さから、葬儀にかかる費用だけを補填したい人に選ばれるようになりました。
●葬儀費用だけを補填したい
・高齢の人々
・終活をしている
・血縁がいない
(友人知人に葬儀を頼む)
現在では保険会社各社から、さまざまな種類の葬儀保険商品が出ています。
葬儀保険の金額も設定できるので、ムリのない範囲で契約できる、それぞれに見合ったプランを選びましょう。
葬儀保険の特徴とは
◇「葬儀保険」は葬儀費用や葬儀後の費用を補填することが目的です
葬儀保険は、1,000万円の限られた保険金額のなかで、葬儀費用や葬儀後の整理費用を補填するためにあります。
そのため生命保険と比べると内容がそぎ落とされ、月々の保険料の支払いや、加入が手頃です。
<葬儀保険の特徴> | |
[特徴] | [具体例(一例)] |
①保険料が安い | (500円からの商品など) |
②保険金の支払いが早い | (葬儀費用の支払いに間に合う) |
③加入要件が緩い | (医師の診察、診断書審査が必要ない) |
④高齢でも加入できる | (最長で満99歳まで更新可能な商品など) |
⑤保険金は葬儀後も使える | (葬儀費用以外にも使用できる場合がある) |
葬儀保険の扱いに関する特徴は、生命保険と違い「少額短期保険」を専門に扱う「少額短期保険業者」によって提供されることが多いでしょう。
この少額短期保険は、2006年に改正保険業法が施行されると同時に導入されました。
少額短期保険は少額の保険金を扱う短期間の契約に特化し、「ミニ保険」とも呼ばれます。
葬儀保険と生命保険の違い
◇「葬儀保険」は、少額短期保険です
葬儀保険は少額短期保険のひとつなので、生命保険とは違い保険金に解約返戻金はなく、少額を扱う一方、月々の保険料や加入要件は緩く、手頃に加入できます。
葬儀保険か生命保険かを検討する目安としては、高齢で葬儀費用のみをカバーしたいのか、若いうちから加入して、家族に一定以上の財産を遺したいのか、で判断すると良いでしょう。
<葬儀保険と生命保険の違い> | ||
[特徴] | [葬儀保険] | [生命保険] |
①加入要件 | ・緩い (医師の診査が不要) |
・厳しい (医師診査、告知義務) |
②加入年齢 | ・緩い (満89歳など) |
・厳しい (満75歳など) |
③保険金額 | ・少ない (上限がある) |
・多い (解約返戻金) |
④月々の保険料 | ・少ない (掛け捨て) |
・多い (貯蓄機能がある) |
⑤更新システム | ・1~2年で更新 | ・終身保険も扱う (解約しない限り保障が続く) |
葬儀保険と生命保険は、自身に万が一の出来事が起こった際、金額の大小はあっても、家族に保険金を残すという点で、大きな違いはありません。
少額短期保険業者と生命保険会社のどちらを選ぶかの判断は、その人の目的によりますが、それぞれの特徴を詳しく調べて、自身にあった保険を選ぶと良いでしょう。
葬儀保険と互助会との違い
◇葬儀保険は保険金を自由に使うことができます
互助会でも葬儀を扱っていますよね。
互助会が提供する葬儀会場や葬儀プランを軸に、ご遺族の希望によってオプション料金が加算される仕組みが一般的でしょう。
一方、葬儀保険は保険金を受け取るため、ご遺族が選んだ葬儀社・葬儀プランに充てることができます。
●互助会は相互扶助を目的とし、会員が月々出し合った掛け金を積み立てるシステムです。
…積み立て金が葬儀費用に充てられ、葬儀に関連する費用を抑えます。
また、解約する際には、契約に基づいて積み立て金が返金されるでしょう。
一方、葬儀保険の保険料は積み立てではなく「掛け捨て」なので、解約しても返戻金がない点も、互助会と葬儀保険の違いです。
・【沖縄での葬儀社の選び方】葬儀社4種類のメリット・デメリット|その2
葬儀保険2つの種類
◇葬儀保険には、保険金定額型と保険料一定型があります
葬儀保険は、受け取る保険金が一定の「保険金定額型」と、支払う保険料が一定の「保険料一定型」があります。
葬儀保険を選ぶ時にはまず、執り行いたい葬儀プランを基に、補填したい保険金額を検討した後、家族や自分の財産状況から、葬儀保険の重要度を位置づけると判断しやすいです。
プランによっては数十万円から設定可能ですので、あらゆる葬儀プランに対応できるでしょう。
<2023年:全国の葬儀形式別の費用相場> ●基本料金+変動費 |
|
[葬儀形式] | [平均的な費用相場] |
(1)一般葬 | ・約100万円~120万円 |
(2)一日葬 | ・約80万円~100万円 |
(3)火葬式 | ・約20万円~40万円 |
(4)直葬 | ・約20万円~40万円 |
(5)家族葬 | ・約30万円~20万円以下 |
必要な葬儀費用とマッチしているかを確認したうえで、保障内容が目的に合っているか、既存の保険と重複していないかを確認します。
・【2023年最新版】沖縄の葬儀で安い形式は?家族葬と一日葬では?お布施の平均額は?
保険金定額型
◇保険金に合わせて、月々の保険料が上がります
月々の保険料が更新時の年齢に応じて増加しても、受け取る保険金額は変わらないというのが保険金定額タイプの特徴です。
下記はあくまでも一例ですが、50歳・65歳と、更新時に保険料が上がります。
<保険金定額型の一例> ●保険金額は100万円 |
|
・49歳まで | …月々の保険料1,200円 |
・50歳から | …月々の保険料1,760円 |
加齢に伴って支払う保険料が増えても、受け取る保険金は一定ですので、保険金がしっかりと必要な人におすすめです。
保険料一定型
◇月々の保険料に合わせて、受け取る保険金が下がります
年齢に応じて受け取る保険金が減っても、月々支払う保険料は変わらないのが保険料一定タイプです。
こちらも下記はあくまでも一例ですが、年齢と反比例して受け取る保険金が減額します。
<保険料一定型の一例> ●保険料は毎月1,000円 |
|
・64歳まで | …保険金が55万円 |
・65歳から | …保険金が45万円 |
加齢に伴う経済的な負担を軽減したい人、葬儀費用の一部を補填したい人に向いている種類です。
葬儀保険のメリット
葬儀に備える方法として、葬儀保険(少額短期保険)に加入するメリットとデメリットは次のようになります。
<葬儀保険のメリット> | |
①月々の保険料がお手頃 | (一般的な保険商品と比較) |
②契約内容の見直しが簡単 | (保障期間は1年間) |
③加入時に医師の診査が不要 | (持病のある人も加入ができる) |
④高齢者でも加入できる | (80歳以上も加入できる商品など) |
葬儀保険は終活の一環で加入する、高齢者の加入希望が多い傾向です。
葬儀保険のなかには89歳の人でも加入できる、医師の診断が不要な保険商品もあるため、高齢の人々に選ばれています。
葬儀保険のデメリット
◇葬儀保険は「掛け捨て型」なので、解約返戻金はありません
解約返戻金がなく保険金の上限がある葬儀保険は、長期間加入には元本割れするリスクがあり向いていません。
また生命保険とは違い一生涯の保障ではなく、契約期間を満了すると葬儀費用の補填ができない点も注意が必要です。
<葬儀保険のデメリット> | |
①途中解約で保険料は戻らない | (掛け捨て型) |
②長期加入は向いていない | (元本割れのリスク) |
③一定期間後の保証はない | (一生涯の保証ではない) |
このようなことから葬儀保険は年配で、自身の葬儀費用に備えることが目的とする人々に向いています。
葬儀保険の選び方
◇葬儀保険のプランとともに、保険業者の信頼度もチェックします
まず葬儀保険の基本として、現金がすぐに支給されるプランを選びましょう。
近年はクレジットカード決済を受け付ける葬儀社も増えましたが、基本的に葬儀費用は現金一括の手渡し支払いが一般的です。
銀行振込でも一括払いが多いため、すぐに手元に入る葬儀保険が、より安心できます。
<葬儀保険のチェックポイント> | |
①すぐに現金が支給される | ・支給方法 ・支給日 |
②保障内容の充実 (葬儀以外の保障があるか) |
・医療費の清算 ・お墓の建立費用 ・遺留品の整理 |
③月々の保険料 | ・高齢時も確認 |
④保険会社の信用度 | ・経営の安定(財務諸表) ・口コミ ・評判 |
また葬儀保険には、葬儀費用だけではなく、入院時の保障がついた商品もあります。
入院時の保証があれば、亡くなったときだけでなく、入院時も葬儀保険から費用を補填できるでしょう。
また高齢になって入る葬儀保険の場合、保険料の節約も非常に重要です。
葬儀保険は、高齢者になると保険料が飛躍的に上昇することがあります。
特に年金暮らしの人であれば、生活が破綻して本末転倒にならないよう、将来的に年齢が上がった時の保険料も確認しましょう。
葬儀保険の注意点
◇葬儀保険の多くはセーフティーネットがありません
葬儀保険の多くは、少額短期保険業者によって提供されているため、セーフティーネットが存在しません。
●保険会社が破綻した場合、契約者を保護する仕組みです。
もし生命保険会社が破綻した場合、保険契約者保護機構のようなセーフティネットがありますが、少額短期保険業者はその対象外です。
経営的に安定している少額短期保険業者を選ぶ必要があります。
財務諸表が公開されていれば内容を確認するのも良いでしょう。
インターネットで調べて信頼性のある口コミや評判を参考にするのも一案です。
しかし前事業年度の年間受取保険料に応じた保証金の供託が義務付けられているため、過度に不安になる必要はありません。
まとめ:葬儀保険は高齢の人々に向いています
「葬儀保険」は葬儀費用やその周辺に特化した、掛け捨て型の保険です。
葬儀保険のなかには89歳での加入も可能など、加入要件が緩く入りやすいことから、主に葬儀費用を補填したい、高齢の人々に注目されています。
葬儀保険の何よりのメリットは、手軽に加入できること、保険料が手頃であること、保険金の支給が早いこと、の3点です。
一方で掛け捨て型で途中解約をしても、まとまった解約返戻金がないこと、保険金が少額であることから、若いうちから備える保険には向いていません。
それぞれの状況や目的に合わせて、ムリのない月々の保険料で選びましょう。