お葬儀の豆知識
沖縄のみーぼん(初盆)と旧盆は何が違うの?家族が決める3つの事柄
故人が亡くなって忌中明け、初めて迎える旧盆(お盆)が沖縄ではみーぼん(初盆)、本州では初盆(はつぼん/ういぼん)です。
全国的な初盆では法要を行い親族が集まる地域が多い一方、沖縄のみーぼん(初盆)は「死は穢れ(けがれ)」として、身内のみで行ってきました。
けれども近年では本州の親族も増えたことから、沖縄のみーぼん(初盆)でも法要を執り行うようになっています。
今回は、現代の沖縄で迎えるみーぼん(初盆)について、どのように初盆を迎えるのか…、選択肢が増えた家族が決める3つの事柄をお伝えします。
沖縄のみーぼん(初盆)と旧盆は何が違うの?
家族が決める3つの事柄
沖縄のみーぼん(初盆)は弔事
全国的に年中行事のお盆はお祝い事であるのに対して、初盆は弔事として行いますよね。
沖縄でもみーぼん(初盆)は弔事、毎年行う年中行事の旧盆はお祝い事となり、この点が大きな違いです。
特にお供え物は弔事として行いますので、お祝いを連想させる紅色などカラフルなお供え物は避けてください。
<沖縄のみーぼん(初盆)は弔事>
●沖縄ではみーぼん(初盆)は、弔事としてお供え物や会場を整えます。
沖縄ではみーぼん(初盆)の規模を選択する
昔ながらの沖縄のみーぼん(初盆)では、「死は穢れ(けがれ)」として弔問客を広く迎えずに、故人とごく近しい身内のみで行う地域もあります。
一方、現代の沖縄のみーぼん(初盆)は、都心部を中心として本州に倣い、初盆法要を営む家が多いです。
<規模はどうするか?>
●そこで近年の沖縄では、みーぼん(初盆)を迎えるに当たり、
(1)初盆法要を行うか
(2)身内のみの初盆にするか
…いずれかを選択します。
ちなみに本州では江戸時代より、先祖代々、家で特定の寺院を信仰する「檀家制度」がありました。
そのため本州では昔から、菩提寺(信仰する寺院)のご住職をお呼びして、初盆法要を行う風習が一般的です。
全国的には初盆に法要を執り行う地域も多いので、本州の親族が多くいる場合には、初盆の法要を執り行う選択肢が良いでしょう。
初盆法要を営む場合
沖縄のみーぼん(初盆)で法要を営む場合、僧侶を手配することになります。
ただ沖縄では本州のような檀家制度が根付いていないため、「どのように僧侶を手配したらよいのか」との相談は多いです。
<沖縄のみーぼん(初盆)、読経供養の依頼>
(1)葬祭専門業者へ相談
(2)近所の寺院へ相談
(3)ネットの出張僧侶サービスを利用
(1)葬祭専門業者へ相談
現代の沖縄ではみーぼん(初盆)に法要を行う風習ができたものの、まだまだ初めて施主となる人も多いです。
沖縄でもみーぼん(初盆)法要の相談をすることで、僧侶の手配から進めてくれる葬祭業者は多くあります。
そのため僧侶の手配も含め、法要の手配一切を相談できる専門業者は頼りになるでしょう。
(2)近所の寺院へ相談
昔の沖縄では、僧侶の読経供養を依頼する場面では、近郊寺院のご住職へ直接相談をしていました。
もちろん檀家(寺院の信家)でなくても初盆法要ですから、当日はお布施を包みます。
一般的にお布施で包むお金は、約3万円~5万円/1回の読経供養です。
<お布施の包み方>
・厚手の白い封筒を使用
・表書きは「お布施」
・封を開けたらお札のお顔が見えるように入れる
切手盆があれば、切手盆に乗せ、僧侶が文字を読める方向で差し出してください。
※切手盆がなければ、袱紗(ふくさ)をお盆代わりに座布団のように添えても良いです。
お渡しする時は両手を両脇に添えて、お渡しします。
(3)ネットの出張僧侶サービスを利用
現代では単発で読経供養を受けてくれる、「出張僧侶」サービスも増えました。
出張僧侶の料金目安としては、約3万円~5万円/1回の読経供養ほどです。
重箱料理は弔事用で準備する
全国的にも沖縄でも、初盆は弔事で行うとお伝えしましたが、そもそも沖縄では茹で豚(シラベーシ)を故人が亡くなった夜の枕飾りに供えるなど、精進料理の習慣がありません。
そのため従来の年中行事、旧盆で供えるウンケージューシーなどのお供え物に、大きな違いはありません。
ただひとつ、最終日ウークイ(お見送り)に供える重箱料理のウサンミ(御三味)は、弔事用ならではのしきたり(後述します)があるので、注意をしてください。
仕出し料理店へ依頼をしているならば「弔事用」とお願いすれば良いでしょう。
葬祭業者へ初盆法要を依頼している場合には、このようなお供え物や仕出し弁当も弔事用で整えてくれます。
<重箱料理も弔事用で整える>
●家族として最も意識すべきはお供え物です。
特に最終日ウークイに供える重箱料理のウサンミは、弔事用として、下記の点に注意をしてください。
(1)弔事(初盆)の重箱料理
・かまぼこは白
・昆布は返し昆布
・豚三枚肉の煮付けは皮を上に詰める
・もちは白もちのみ
・慶事を連想させるおかずは避ける
※ちなみに、慶事用は下記です。
(2)慶事(旧盆)の重箱料理
・かまぼこは紅白
・昆布は結び昆布
・豚三枚肉の煮付けは皮を下に詰める
・もちはあんこ入りや色もちでも良い
・ターンム(田芋)などを詰めても良い
…この他には、お供え物に大きな違いはありませんが、ナカビ(中日)にお素麺を供えるならば、色付きのお素麺は避けて白やグレー色のお素麺を中心に供えましょう。
<沖縄のみーぼん(初盆)、お供え物の選択>
・自分でお供え物を準備する
・仕出し料理店などで手配をする
この場合(1)初盆法要を行うか(規模をどうするか)(2)法要後の会食をどうするか(仕出し弁当を振る舞うのか)などなどによっても変わってきます。
弔問客受け入れの有無
全国的な初盆では、菩提寺のご住職に読経供養を依頼して法要を執り行う家も多く、初盆に向けて御香典を準備し、弔問に訪れる人々も少なくありません。
一方、昔の沖縄では、みーぼん(初盆)に法要を行わない場合、旧暦7月13日~15日(2022年8月10日~12日)の日程をずらして弔問に訪れる地域もありました。
そのため現代でも、旧暦7月16日頃になって、次々と弔問客が訪れて、対応に戸惑う家族も見受けます。
このようなことを避けるため、沖縄ではみーぼん(初盆)を過ぎてから、だらだらと弔問客が続く状況を避ける意味合いで、初盆法要を決める家も多いです。
<初盆法要の案内状を出すか、出さないか>
●初盆法要の案内状
・人数を決めて案内を出す
・案内を出さずに弔問客を受け入れる
沖縄では法要も電話などで連絡する方法が多いですが、旧盆以降の弔問客を避ける、初盆法要の弔問客を想定するには、予めご案内をお出しすると進めやすいでしょう。
案内状を出す場合
沖縄でみーぼん(初盆)のご案内状を出す場合には、下記の点を記載します。
<案内状に記載する内容>
・法要の日時
・法要場所
・参列時の服装
・御香典の有無
・ご返信の期限を記す
全国的には往復ハガキにて法要のご案内を出すので、これに倣いご案内を進めると便利ですが、沖縄では法事の参列に返信する習慣も本州ほどありません。
そのため返信のないケースもあり、最終的に電話での確認も想定して進めましょう。
御香典の有無を決めておくと便利
沖縄のみーぼん(初盆)で法要を執り行いご案内状を出す時には、御香典の有無を決めてしまうと楽です。
弔意の気持ちを表す御香典は大変有難いのですが、マナーとして返礼を準備しなければなりません。
<御香典の有無まで決めておくと便利>
●予め「御香典・ご供花・御供え物の儀は固くご辞退申し上げます。」とご案内に明言してしまえば、施主も返礼に頭を悩ませる必要がなくなるでしょう。
もしも沖縄のみーぼん(初盆)日程を避けて弔問客が訪れ、御香典を準備している場合には、快く受け取って返礼を用意しても良いのですが、「お気持ちは嬉しいのですが…」と角が立たないようにお断りをする人もいます。
まとめ
いかがでしたでしょうか、かつての沖縄ではみーぼん(初盆)は法要は執り行わず、年中行事の旧盆よりも規模を小さくして、身内のみで静かに進める習慣がありました。
けれども本州の親族も増えるなか、現代の沖縄では本州のようにご案内状を出して、初盆法要を執り行う家が多いです。
ただし、沖縄の初盆法要は本州のように大きなものではない家もあり、読経供養は行うものの、10人~20人ほどの規模が多いでしょう。
家族が亡くなり哀しみの真っただ中にいる場合、法要などのセレモニーをひとつひとつ、丁寧にこなしていくことで、喪失による哀しみを癒すグリーフケアの一端になるとも言われています。
沖縄の旧盆日程を避けて、いつまでもちらほらと自宅に弔問客を迎え入れることが大変、と言う家族もいるでしょう。
※昔ながらの沖縄のみーぼん(初盆)については、下記に詳しいです。
・沖縄のみーぼん(初盆)はいつ?昔と今、沖縄で迎える習慣の違い
まとめ
沖縄のみーぼん(初盆)、家族が決める3つの事柄
(1)規模はどうするか?
・初盆法要を行う
・身内のみで行う(2)お供え物はどうするか?
・自分で準備をする
・仕出し料理店へ依頼をする