お葬儀の豆知識
【沖縄の葬儀マナー】お布施の包み方と渡し方、施主が押さえる5つのマナー
檀家制度が根付いていない沖縄では、僧侶へお布施をお渡しする準備やマナーに戸惑う人が多いですよね。
檀家制度とは特定の寺院の信徒(信家)となる制度で、信徒(信家)は「檀家(だんか)」、寺院を「菩提寺(ぼだいじ)」や「檀那寺(だんなでら)」などと言いますが、多くが寺院墓地に先祖代々墓を建てている家が檀家となるでしょう。
一方、沖縄では個人墓地に建つお墓が多く、近代の沖縄でも宗旨宗派不問の民間霊園が多いため、菩提寺を持つ慣習がありません。
けれども故人の供養には、僧侶を手配して読経供養をお願いしますよね。
今回は、そんな沖縄で僧侶へお布施を包み方や渡し方マナー、一般的な沖縄でお布施を包む金額相場をお伝えします。
【沖縄の葬儀マナー】お布施の包み方と渡し方、施主が押さえる5つのマナー
沖縄でお布施の金額目安
お通夜や葬儀の場合、昔の沖縄では家族が近隣寺院のご住職に依頼するなどして手配しましたが、現代では葬儀社が手配をしてくれるでしょう。
また最近ではインターネットの僧侶派遣で僧侶を手配する事例も増えました。
沖縄で一般的なお布施の相場は約3万円~5万円/1回の読経供養です。
(1)お布施…約3万円~5万円
(2)御車料…約3千円~5千円
(3)御膳料…約3千円~5千円
(4)戒名料…約3万円~30万円以上
本来、仏教の教えにおいて「お布施」は仏に通じる修行のひとつになるため、「お礼」や「読経料金」などではありません。
けれども葬儀社による紹介や、インターネット僧侶派遣で僧侶を手配した場合、1回の読経供養で包むお布施の金額を明瞭に提示していることが多いです。
・【沖縄の葬儀】喪主が行う通夜まで5つの事柄。葬儀社・僧侶と打ち合わせ
(1)お布施
お布施では仏教における修行「行(ぎょう)」のひとつとなり、本来、寺院としては明瞭な金額は提示されません。
・法施(ほうせ)…僧侶が仏法を説くこと
・無畏施(むいせ)…畏怖の念を抱かせないこと
・財施(ざいせ)…財産を施すこと
以上3種の布施行のうち、お布施は財施に当たります。
ただ沖縄ではお布施を包む機会は多くはないため、包む金額に不安がある場合は、直接僧侶へ確認をすると良いでしょう。
・「みなさま、どれくらい包まれているでしょうか?(見当が付きません)」
…などです。
「おいくらですか?」「お支払いします」のようにはお布施は扱わないことだけ気をつければ、沖縄でお布施の金額をお伺いするのは失礼に当たりません。
若しくは葬儀社スタッフなどに相談するのも良いでしょう。
(2)御車料
寺院より会場へ出向いて読経供養を依頼する場合、交通費として「御車料」をお布施とともに包みます。
一般的な御車料は約3千円~5千円ですが、目安としては寺院から会場までのタクシー代と捉えてください。
(3)御膳料
最近の沖縄では参列客の帰り際に、御香典返し(引き物)とともに仕出し弁当とお酒をお渡しする葬儀も増えましたが、法要後に食事を振る舞うお斎(おとき)を準備している場合、僧侶へ参加の可否を伺います。
もしも僧侶が法要後のお斎に不参加でしたら、沖縄ではお布施とともに御膳料も包んでお渡ししてください。
こちらも金額目安は約3千円~5千円とされていますが、目安として準備した会食代金と同等と考えると良いでしょう。
(4)戒名料
檀家制度が根付いておらず、独自の祖霊信仰を持つ沖縄では、以前は戒名の習慣はありませんでした。
家族が亡くなると、沖縄位牌のお札に生前から使っていた俗名を書き入れてきましたので、必ずしも戒名が必要とは限りません。
もしも戒名を受ける場合、戒名の位や依頼先によって約3万円~30万円と幅広いでしょう。
●読経供養を依頼した僧侶へ戒名まで依頼する場合、下記の点を確認ください。
・お布施に戒名料まで一緒に包む
・お布施と戒名料を別々に包む
本州では、例えば寺院墓地にお墓が建つ場合、菩提寺のご住職から受けた戒名がなければ、納骨できないなどの事情があります。
・【沖縄での葬儀の進め方】戒名はつける?位で違う戒名料金の相場
沖縄でお布施を包むマナー
本州では地域によって、黄色×白の袋や水引きを用いたり、お布施であっても白×黒の不祝儀袋を用いる地域もありますが、お布施は布施行のひとつであり、御香典とは性質が違います。
そのため沖縄でお布施を包む場合、厚手の白封筒を用いる方法が一般的です。
どのような仏教宗派においても、厚手の白封筒であれば失礼はないでしょう。
(1)厚手の白封筒
(2)表書きは「お布施」
(3)新札を用意する
以上、特に御香典との違いに気を付けて包みます。
御香典はお悔みの形なので、沖縄では御香典の作法でお布施を包むことは好まれません。
(1)厚手の白封筒
厚手の白封筒で気を付けることは、二重封筒を避ける点です。
●お札が透けない、厚手の白封筒に包みましょう。
白封筒のなかには、中袋が付いたタイプもありますが、「不幸が二重になる」と言う意味合いや、偶数は陰数とされているので避けられます。
(2)表書きは「お布施」
表書きは「お布施」や「御布施」です。
表の中央、上半分のスペースに書き、その下スペースには施主(喪主)の苗字を入れます。
御香典マナーとしては薄墨で表書きを書きますが、これは「哀しみの涙で墨が薄くなりました」という弔意を伝えるためのものとなるため、お布施では黒墨を用いてください。
裏面の向かって左下には住所を書き、住所の下には郵便番号まで入れましょう。
(3)新札を用意する
御香典は「突然の訃報に、急いで準備した」ことを表すため、新札を避けますが、お布施では新札を準備してください。
・新札を入れる
・封を開けて最初にお札の「お顔」が見える
沖縄では不幸が重ならないよう「できるだけお札を重ねない」作法があるため、仮に5千円であれば千円札5枚ではなく、5千円札が好ましいです。
沖縄でお布施をお渡しするマナー
沖縄でお布施を僧侶へお渡しするタイミングは、一般的には一連の法要を全て終えた後が多いでしょう。
葬儀であれば、葬儀・告別式・還骨法要や納骨式など、ひと通りの仏事を済ませた後でお渡ししても大丈夫です。
(1)切手盆に乗せる
(2)僧侶から読めるようにお渡しする
ただし、前述したように本来お布施は徳行のひとつであり、読経供養へのお礼や料金ではありません。
そのため法要当日にお布施をお渡しすることを避ける僧侶もいらっしゃいます。
このような場合は、後日家族が寺院へ出向いてお布施をお渡ししてください。
(1)切手盆に乗せる
沖縄でもお布施は基本として、「切手盆(きってぼん)」と呼ばれる小さいお盆の上に置いて差し出します。
また、お布施の他にも御車料や御膳料をお渡ししますが、重ねる順番もあるので意識して並べてみてください。
●上から順番に…、
(1)お布施
(2)戒名料(別々であれば)
(3)御車料
(4)御膳料
…以上の順番です。
切手盆がない場合には、お布施を持参する時に包んでいた袱紗(ふくさ)を切手盆代わりにして、座布団のように下に敷いて差し出すこともあります。
(2)僧侶から読めるようにお渡しする
沖縄でお布施をお渡しする際は、表書きの文字が僧侶から読める方向で差し出します。
・僧侶から文字が読める方向
・切手盆に両手を添える
・机をよけて、脇から差し出す
沖縄でお布施をお渡しするタイミングは控え室が多いのですが、机上でお布施をお渡しせず、机の横にずれて正座をしながら二つ手を添え、机の脇でお渡しします。
机を挟んでお渡しすることがマナー違反となるためです。
名刺をお渡しするビジネスマナーにも似ていますね。
最後に
いかがでしたでしょうか、以上が沖縄の法要でお布施をお渡しする際の、包み方や渡し方の基本的なマナーです。
ちなみにお通夜や葬儀など法要での読経供養は僧侶が二人で行うことが多くありますが、これを沖縄では「家族葬だから僧侶は一人で良い」と言う人もいます。
ただ法要の供養で僧侶が二人読経するのは仏教の教えによるものですので、僧侶の意向に合わせる方が良いでしょう。
(不安事などあれば、僧侶へ直接言うのではなく、葬儀社スタッフに相談するのも良いかもしれません。)
一般的に僧侶が一人でも二人でも、沖縄ではお布施を包む金額は変わりません。
読経供養の回数で判断する人が多いでしょう。
まとめ
沖縄でのお布施の包み方・渡し方マナー
●金額目安
(1)お布施…約3万円~5万円
(2)御車料…約3千円~5千円
(3)御膳料…約3千円~5千円
(4)戒名料…約3万円~30万円以上●包むマナー
(1)厚手の白封筒
・二重封筒は避ける
(2)表書きは「お布施」
・黒墨を使う
・お布施の下には苗字
・裏面左下に住所
(3)新札を用意する
・封を開けた時にお札のお顔が出る●お渡しするマナー
(1)切手盆に乗せる
・両手を添える
・切手盆がなければ袱紗を代用
(2)僧侶から読めるようにお渡しする
・机をまたがず、脇で手渡す