お葬儀の豆知識
弔辞の書き方とは?使いやすい例文はある?最初の言葉や文章構成、締めの言葉まで解説!
・弔辞の例文は?
・弔辞の文章はどのように書けばいい?
・弔辞の最初や締めの言葉は?
弔辞は喪主やご遺族が、故人と親しかった人へ依頼します。
そのため故人の人柄を良く知り、喪主やご遺族が「ぜひ故人へひと言欲しい」と依頼していることが多いでしょう。
ただ弔辞の席では、失礼にならない言葉遣いやマナーがあります。
本記事を読むことで、喪主やご遺族に失礼にならない弔辞の書き方、最初のや締めの言葉や例文が分かります。
弔辞とは
◇「弔辞」とは、故人へ贈る最期の言葉です
一般的には生前の故人を良く知る、親しかった人へ家族や親族が依頼します。
どの宗旨宗派であっても、葬儀や告別式で読まれるでしょう。
参列者を代表して伝える「故人への最期の言葉」の贈り物となるため、故人との別れに感じる悲しみや思いを表現することが一般的です。
●弔辞は故人への別れの言葉だけではなく、故人の生前の成果を称え、参列者に故人の人柄や経歴を伝えます。
遺族から弔辞の依頼を受けたら、特別な事情がない限り、マナーとしてでき得る限り引き受けましょう。
弔辞の形式
◇弔辞は一般的に奉書紙に書き、奉読後には祭壇に供えます
弔辞の原稿は、正式には大判の巻紙または奉書紙です。
毛筆で縦書きに書き、巻紙であれば最初の10cmは余白を作ります。
奉書紙に書くならば1枚に収まるように書きましょう。
<弔辞の形式> | |
[形式] | ●巻き紙、または奉書紙に書く ・墨、または筆ペン ・薄墨を使用 |
[書き方] | ●表書きは「弔辞」「弔詞」 ・縦書き ・奉書紙は1枚に収める ・句読点を付けない (「。」「、」など) |
[弔辞の締め] | ・葬儀当日の日付 ・名前 |
[整え方] | ●一重の封筒に入れる ・和封筒が好ましい ・三つ折り (書き出しを上に折る) |
奉書紙で包む時には、半分に切った包み用紙を左前に3つ折りにして、「弔辞」や「弔詞」と書き添えます。
奉読後には祭壇に供えられた後、最終的にはご遺族の元で保存する流れです。
ご遺族の元に届くため、原稿も誠意をもって丁寧に整えると良いでしょう。
弔辞マナーとは
◇弔辞の長さは約3分ほどです
1人あたりの弔辞の長さは約3分ほど、1000文字~1200文字が目安ですので、原稿用紙では約3枚ほどになります。
ただ弔辞では緊張して早口になってしまう人もいるので、原稿を書き上げたら事前に複数回、練習してみることで、適切な時間内で読み上げることができるでしょう。
<弔辞マナー> | |
①弔辞は約3分~5分ほど | (原稿用紙3枚ほど) |
②間違えがないか事前に確認 | (経歴や功績など) |
③故人の印象が良い思い出話 | ・印象を悪くする内容は避ける ・生前の故人を称える内容 |
④忌み言葉を避ける | ・重ね言葉(「しばしばなど) ・直接的な表現(消えるなど) |
⑤宗旨宗派に配慮 | ・ご冥福は仏教用語 (「安らかにお眠りください」など) |
弔辞を依頼されたら、生前の故人との関係性を改めて逡巡し、弔辞で自分が求められている内容を考慮します。
幼馴染みや友人であれば、プライベートの故人の親しみやすさなど、人柄を思い出されるエピソードを、会社関係者であれば仕事の功績を称えると良いでしょう。
参列者がみなで、生前の故人を思い出し、偲ばれる内容が好まれます。
忌み言葉や宗旨宗派に配慮すべき言葉遣いに関しては、下記コラムに詳しいです。
弔辞の書き方
◇弔辞に決まり事はありませんが、ぜひ伝えたい内容が4つあります
弔辞に決まった構成はありませんが、生前親しかった故人への言葉として、最初は呼びかける形で始めると伝えやすいです。
上司と部下や幼馴染みなど、故人との関係性によっても呼びかけは変わるでしょう。
また家族葬など規模の小さな葬儀であれば、よりフランクになる傾向です。
<弔辞の書き方(構成)> | |
①故人への呼びかけ | |
②訃報への哀悼 | ・訃報を聞いた時の驚きや哀しみ |
③故人との関わり | ・参列者へ故人と自分の関係性 |
④故人との思い出 | ・故人の人柄が分かる思い出話 ・参列者が生前の故人を思い出す |
⑤お悔やみの言葉 | ・故人と別れを告げる |
弔辞では故人への呼びかけに始まり、故人への別れの言葉で締めます。
最後は基本的なお悔やみの言葉で良いですが、宗旨宗派への配慮も必要です。
別れの言葉には宗旨宗派による配慮もありますが、会いたい気持ちを素直に伝える弔辞も良いでしょう。
弔辞の読み方
◇弔辞は一般的に2人~5人ほどが読むでしょう
弔辞は一般的に2人~5人ほどが依頼されるため、あまりに長時間掛からぬよう配慮しながら、落ち着いて、参列者に言葉が届くように、ゆっくりと奉読します。
弔辞は司会者に指名された後、以下の手順で読む流れです。
<弔辞の読み方> | |
①始まり | ・司会者による指名 ・立ち上がり、遺族に一礼 |
②祭壇に一礼 | ・祭壇の前まで歩き出る ・祭壇に向かって、一礼 |
③弔辞を取り出す | ・包紙から弔辞を取り出す。 ・弔辞を左手に持つ ・右手で弔辞を開く ・包紙は左手側、弔辞の下に置く |
④弔辞の読み上げ | ・ゆっくりと読み上げる ・弔辞を再び包み直す |
⑤弔辞を供える | ・祭壇の正面に弔辞を供える ・祭壇に一礼 ・ご遺族へ一礼 |
弔辞を読む時には、故人に語りかけるように読むことで、落ち着いてゆっくりと話すことができるでしょう、ムリをしてハキハキと読む必要はありません。
できるだけ他の参列者と、故人を偲ぶ気持ちを共有できるよう、聞き取りやすいような読み方を心掛けましょう。
弔辞の例文
◇弔辞の書き方は、故人との関係によって違います
弔辞を依頼されたら、故人とどのような関係性で出会ったのかを考慮して、言葉遣いや内容を検討すると良いでしょう。
<故人との関係で違う、弔辞の内容> | |
①友人 | ・故人との関係性 ・懐かしいエピソード ・プライベートでの故人の人柄 ・故人を慎み偲ぶ気持ち |
②会社関係者 | ・故人との関係性 ・会社での功績や人柄 ・会社でのエピソード ・故人への感謝 |
③親族 | ・参列者への感謝 ・生前、故人が話していたこと (参列者への故人の思い、感謝) ・故人へのご恩への感謝 |
このような一般的な弔辞の書き方への配慮はありますが、故人を偲び慎む気持ちを丁寧に伝えるならば、基本的には構成に決まり事はありません。
下記より、故人との関係性で違う弔辞の例文を3つご紹介しますので、例文をアレンジしてご使用ください。
友人へ向けた弔辞の例文
「○○さん 誰も予想し得なかったあなたの訃報を受け ただ信じられない思いのなか、言葉も出ないまま立ち尽くしていました
あなたと出会ったのは中学1年生の時でしたね
人見知りな私をものともせず あなたは明るく話しかけてくれました
同じ高校大学と進み 青春の思い出のほとんどはあなたと一緒です
いつまでもうじうじと悩む私にとって 一度決めたら猪突猛進 最後までやり通す姿は憧れでした
趣味も好みも性格も正反対なのに なぜか話し出すと止まらず 気が付けば何時間も経っていたということもよくありましたね
大学では海外へ交換留学を果たし 快活な○○さんの良さが発揮され たくさんの友人と楽しそうに過ごす姿はキラキラと輝いていました
一方で難しい問題が起きても泣き言を言わず 頑張ってきたあなたを私は知っています
歯を食いしばり頑張る姿を人には見せず ひとつひとつ夢を叶えてきた○○さんは 私の自慢の幼なじみです
それなのに突然こんな別れが訪れるなんて ただただ驚きと悲しみしかありません
どうぞ しばらくはゆっくりと安らかにお休みください
○○年○○月○○日
○○○○(名前)」
会社の同僚に向けた弔辞の例文
「〇〇さんの御霊前に 謹んでお別れの言葉を捧げさせていただきます
○○さんの突然の訃報受け つい昨日まで話していたことが信じられずにいます
お別れの言葉を申し上げている今でさえ もう〇〇さんと会社で会うことがないことを考えると いまだに信じられない気持ちでいっぱいです
あまりにも突然の出来事で 現実を受け入れることができません
〇〇さんは 長年にわたって私たち企画部を下支えしてくれました
寝食を忘れて日々の積み重ねによるご功績は 永久に消えることはありません
真面目で誠実に働く〇〇さんの姿に励まされ またその温かい人柄に皆が癒されてきました
明日もまた ○○さんのいない社内に寂しさを抱く日々が続くでしょう
けれども○○さんからいただいた情熱や誠実さを忘れず 次世代へ繋いでいきます
〇〇さん 長い間お世話になりました
社員を代表して 心からお礼を申し上げます。
〇〇さん どうぞ安らかにお眠りください
そしてどうぞ 私たちの今後の頑張りを見守っていてください
○○年○○月○○日
○○○○(名前)」
祖父へ向けた弔辞の例文
「とうとう 祖父〇〇とお別れをする日がやってきてしまいました
先日祖父の家を訪れたときは 縁側で私たちを待っていてくださり 大きく手を振って嬉しそうに出迎えてくれたので 突然のことに驚きと悲しい気持ちでいっぱいです
高校時代は祖父の家にお世話になり 二人暮らしをしていました
祖母を見送ったばかりの悲しみのなか 慣れない料理に男二人で奮闘した日々を思い出します
料理本を片手に 祖父は餃子やカレーを作ってくれました
私がポテトサラダを作ったとき、祖父は「おいしい」と何度も言いながらスプーンでお皿が綺麗になるまで食べてくれたことも忘れられません。
祖父は私の中でとても大きな存在で まだ悲しい気持ちで胸がいっぱいです
けれども ポテトサラダを食べてくれた日の 祖父の笑顔を思い出し 前向きに生きていきます
〇〇じいちゃん いつも僕を支えてくれてありがとう
さようなら
○○年○○月○○日
○○○○(名前)」
まとめ:弔辞は故人へ贈る最期の言葉です
弔辞とは、故人と生前に親しくしていた人々が、参列者とともに故人を思い出し偲んで、お見送りの前に最期に贈る手紙です。
そのため弔辞は、故人に向かって話しかける形式で進みます。
けれども葬儀の席には、ご遺族や参列者の人々がいて、私たちは生前の故人の人柄やエピソードを共有するでしょう。
だからこそ感傷的な言葉を過度に使ったり、個人的な話題に絞りすぎることは避けて、穏やかな空間を作り出し、故人を称える内容が好ましいです。
例えば故人の生涯の業績を称えたり、参列者が故人の人柄を思い出すようなエピソードを盛り込みます。