お葬儀の豆知識
【沖縄の葬儀マナー】お線香のあげ方も宗派で違う?自宅への弔問でお線香をあげるマナー
沖縄で葬儀に参列できなかった時、ご自宅まで弔問に伺う人も多いですよね。
四十九日を過ぎたら通常の弔問ですが、沖縄では葬儀後、四十九日まで七日ごとに行うナンカスーコー(七日焼香)を行う家も多く、このナンカスーコー(七日焼香)に参列することもあります。
・お線香のあげ方にマナーはある?
・香典の表書きは?
・法要でお線香をあげる時の本数は?
沖縄では特定の仏教宗派や寺院を信仰する「檀家制度」はありませんが、最近は沖縄でも仏式の葬儀や法要を執り行い、マナーもその宗派に倣う家が増えました。
今回は、現代沖縄の葬儀や法要、また弔問時にお線香をあげる時に戸惑わない、お線香のあげ方マナーを解説します。
お線香とは?お焼香との違い
●お線香とは、仏教において仏様へ食べ物の代わりに捧げる「香り」です
またお線香を焚くことで場を清め、生きる身の穢れや邪気を除いて身を清めます。
さらにお線香の煙が天へ上り、故人やご先祖様との絆を繋いでくれるでしょう。
沖縄では葬儀のタイミングでくべるお焼香もありますが、基本的にお線香とお焼香に違いはありません。
仏様へお線香を捧げる(供える)ことを「供香(ぐこう)」と言います。
●ただ一般的にお線香とお焼香ではタイミングが違うでしょう。
[1]お線香…日常のお勤め、お墓参り、仏壇への弔問
[2]お焼香…葬儀など
お線香もお焼香も意味としては同じなので、例えば毎日のお仏壇へのお勤めにおいて、お焼香を行っても問題はありません。
ただ日常的にはお線香の方が便利です。
一方でお線香を用いた葬儀もあるので、この時にはお線香のあげ方にも配慮する必要があります。
自宅へ弔問する時、香典の表書きは?
●四十九日前であれば「御霊前」、四十九日後なら「御仏前」です
仏教において四十九日前は、故人が成仏せずにこの世に残っている「忌中(きちゅう)」とされるため、四十九日前の香典は御霊の前に差し出すとして「御霊前」になります。
[1]四十九日前…御霊前、御香典
[2]四十九日後…御仏前、御香典
※浄土真宗では、四十九日前でも「御仏前」
沖縄では特定の宗派を信仰する家は少ないですが、浄土真宗の家に弔問へ行く場合、四十九日前の香典でも、表書きは「御仏前」です。
浄土真宗においては阿弥陀如来様の他力本願の力により、生けとし生きる者全てが、死後すぐに極楽浄土へ成仏するとされます。
沖縄で葬儀後に弔問へ伺うとして、宗派に迷いがあれば「御香典」で統一しても良いでしょう。
・【沖縄の葬儀マナー】御香典とは?表書きや御香典金額の目安、連名でのマナーもご紹介!
基本的なお線香のあげ方
●お線香のあげ方は、右手でお線香を持ちロウソクから火を灯し、右手で仰いで火を消した後、香炉に立てます
日常の仏壇へのお勤めと変わらない方法ですが、お線香のあげ方マナーとして、必ず避けたい事柄は、息でお線香の火を消さないことです。
また、浄土真宗の家ではお線香のあげ方も異なるので、この点も注意をしてください。
①数珠は左手に持つ
②右手でお線香を取る
③ロウソクの火から、お線香に火を灯す
④お線香を左手に持ち替える
⑤右手でお線香の火を仰いで消す
⑥お線香を香炉に立てる
口から出る息は不浄のものなので、お線香を消す時には大変失礼になります。
お線香の火を消す方法は、右手仰いで消す他、お線香を後方に引っ張るように引いて消すやり方でも、問題はありません。
浄土真宗における、お線香のあげ方
●浄土真宗でのお線香のあげ方は、香炉に合わせてお線香を折る点が特徴的です
浄土真宗の場合はお線香を寝かせて捧げるため、香炉が小さければ、その大きさに合わせて折り供えます。
①数珠は左手に持つ
②右手でお線香を取る
③香炉に合わせて、お線香を2つ~4つに折る
④ロウソクの火を灯す
⑤お線香を左手に持ち替える
⑥右手でお線香の火を仰いで消す
⑦お線香の火が付いている先を左にする
⑧寝かせるように、香炉にお線香をくべる
お線香を寝かせることが目的で、必ずしもお線香を折ることが目的ではありません。
そのため大きな香炉が用意され、お線香をそのまま寝かせられる時には、お線香を折る必要はないのです。
お線香をあげる本数は、宗派で違う
●お線香のあげ方は、多くの宗派で1本ですが、3本の宗派があります
基本的なお線香のあげ方では、1本を供えれば失礼はないでしょう。
けれどもより弔意を表したい時には、先方の宗派にならった本数に配慮すると、よりお悔みの気持ちが伝わりやすいです。
[1]臨済宗…1本~3本
[2]真言宗…3本
[3]浄土宗…1本
[4]天台宗…1本か3本(決まり事としてはない)
[5]曹洞宗…1本
[6]日蓮宗…1本
[7]浄土真宗…1本
※浄土真宗は2つ~4つに割って寝かせる
以上、お線香をあげる時には、それぞれの宗旨宗派に倣ってあげると安心です。
特に、スーコー(焼香/法要)などで僧侶を呼び、読経供養が行われている場であれば、先方の宗派にならったお線香のあげ方を心がけると良いでしょう。
沖縄のお線香「ヒラウコー(平御香)」
●沖縄のお線香「ヒラウコー(平御香)」だった場合、半ヒラ(1/2)を供えます
沖縄には独自のお線香「ヒラウコー(平御香)」もありますよね。
「ヒラウコー(平御香)」とは、日本線香を6本並べてくっ付けた、板状の形をしたお線香で、沖縄の御願文化にはなくてはならないアイテムです。
それぞれの目的に合わせて、必要な本数分を「割って」供えます。
●弔問先でヒラウコー(平御香)が用意されていた時には、弔問客は基本的に、ヒラウコー(平御香)を縦に半分割った、「半ヒラ(半片)」です。
沖縄のヒラウコー(平御香)における半ヒラ(半片)は、日本線香で言うところの3本分です。
この他の供え方は、日本線香での基本的なあげ方と同じだと考えてください。
※ただし、ナンカスーコー(七日焼香)やシジュウクンチ(四十九日)で喪主(施主)がヒラウコー(平御香)をお仏壇へ供える場合、本数は「ジュウニフンウコー(十二本御香)」と呼ばれる、タヒラ(二片=二枚)です。
最後に
以上が沖縄で葬儀に行けなかった時、後からご自宅へ弔問へ伺う時などに理解しておきたい、基本的なお線香のあげ方や、お焼香との違いです。
現代の沖縄では少なくなりましたが、沖縄の地方では葬儀後も、シジュウクンチ(四十九日法要)までにナンカスーコー(七日焼香)と呼ばれる七日ごとの焼香があります。
昔の沖縄では、葬儀に間に合わなくても、ナンカスーコー(七日焼香)に参列してフォローしていた人も多くいました。
ただ今ではナンカスーコー(七日焼香)を、沖縄本島を中心に、葬儀当日にシジュウクンチ(四十九日法要)まで「繰り上げナンカスーコー(七日焼香)」として済ませる選択が増えています。
・【沖縄の葬儀】喪主が葬儀後、四十九日法要までに行う5つの事柄|その1
まとめ
宗派や地域で違う、お線香のあげ方とは
・お線香は供香、仏様への香りのお供え物
・意味はお焼香と同じ
・お焼香は葬儀、お線香は日々のお勤め●お線香のあげ方
①数珠は左手に持つ
②右手でお線香を取る
③ロウソクの火から、お線香に火を灯す
④お線香を左手に持ち替える
⑤右手でお線香の火を仰いで消す
⑥お線香を香炉に立てる
※浄土真宗ではお線香を追って寝かせる●沖縄にはヒラウコー(平御香)がある
・弔問客は半分に割る
※サンブンウコー(三本御香り)
・喪主(施主)は一般的にタヒラ(二枚)