お葬儀の豆知識
沖縄ならではの葬儀のしきたりとは?本州の人々が驚いた5つの体験談とは
沖縄では独自の葬儀のしきたりも数多く見受けますよね。
本州の人々が事前知識なしに、沖縄の葬儀に参列すると、独自のしきたりに驚く体験談も多いです。
・沖縄ならではの葬儀のしきたりは?
・どうして沖縄独自のしきたりがあるの?
・参列時に戸惑わない、沖縄の葬儀のしきたりは?
特に地方や離島地域で行う自宅葬では、昔ながらの沖縄の葬儀のしきたりに倣ったものもあるでしょう。
今回は、初めての参列で突然のことに戸惑うことのないよう、昔ながらの沖縄独自の葬儀のしきたりについて、いくつか解説します。
読経供養のないお通夜もある
●その昔の自宅葬が主流だった沖縄では、お通夜は挨拶程度でした
葬儀社がサポートする現代の沖縄ではお通夜から、僧侶の読経供養とお焼香を行うものがほとんどですが、その昔の沖縄ではお通夜を「ユートゥージ(夜通し)」と言い、沖縄ならではの葬儀のしきたりがありました。
●昔ながらの沖縄のお通夜(ユートゥージ)
・僧侶を呼ばない
・遺族、身内、ごく親しい友人知人のみ
・弔問は挨拶程度
現在でも地方や離島など、自宅でお通夜を執り行う地域では、今もこのようなお通夜(ユートゥージ)を見受けるでしょう。
近隣住民や近しい友人知人も弔問に訪れますが、私服で訪れる人も多く、翌日に行う葬儀の日時を確認して帰る人も少なくありません。
・【葬儀の進め方】喪主が把握する通夜の流れ。開始から終了まで9つの手順
沖縄に伝わる、お通夜を準備するタイミング
●以前の沖縄では、ご臨終を判断する方法として、独自の風習がありました
現在の沖縄では、家族が危篤状態になるとまず救急車を読んだり、かかりつけ医に電話をしたりするため、医師がご臨終の確認を取ります。
けれども以前の沖縄では、家族のご臨終を判断する、ひとつの判断基準が風習としてありました。
・脈拍が腕に上がっていく
・涙を落とす
・溜息を大きくつく
これはあくまでも昔ながらの沖縄に伝わる風習ですが、実際にご臨終に立ち会った経験がある人は、納得できるものもあるかもしれません。
・【家族が亡くなったら】危篤状態になったら、まず家族がやるべき6つのこと
火葬後に行う葬儀「骨葬」
●沖縄では葬儀の前に火葬を済ませる、「骨葬(こつそう)」が多いです
沖縄の葬儀のしきたりとして骨葬が多い点は、多くの本州の人々が驚きます。
「骨葬(こつそう)」とは、先に火葬を済ませて骨壺の状態で祭壇に祀り、葬儀を済ませる方法です。
・葬儀当日の納骨が多い
・その昔は風葬だった
・自宅葬が多かった
沖縄ではその昔、ご遺体をそのままお墓へ納める風葬の習わしがありました。
そのためにそもそも、その昔は葬儀後に火葬を行う習慣がなかったこと、葬儀当日の納骨式が多かったことから、骨葬が一般的になっています。
また以前の沖縄では自宅葬も多かったなか、細い道が多く「棺が通らない!」などの事情もありました。
・【沖縄の葬儀マナー】火葬とは?火葬場で行う別れの式と骨あげ、火葬場での手続きを解説
沖縄に多い焼香の回数
●沖縄の焼香で、ウコール(香炉)へ抹香を移す回数は、3回が一般的です
琉球王朝による文化が根付いてきた沖縄では、本州のように家で代々、特定の寺院を信仰する「檀家制度」がそもそも根付いていません。
そのため、本来は仏教宗派により焼香の回数が決まっているのですが、沖縄では比較的自由です。
・読経供養をする僧侶の宗派に合わせる
・3回が多い
ただし一般的に沖縄で焼香を行う時、3回を目安に行う人が多いでしょう。
一方、僧侶の宗派に合わせる場合、天台宗や真言宗は3回、臨済宗や曹洞宗は2回、浄土真宗であれば本願寺派や真宗大谷派など、派によっても変わります。
ちなみに沖縄では比較的、臨済宗が多いです。
・【沖縄の葬儀マナー】宗派で違うお焼香の仕方とは。押さえる3つのポイント
葬儀後、すぐの納骨式
●沖縄では葬儀御すぐに納骨するしきたりがありました
前述したように沖縄では風葬の歴史があったため、葬儀後にご遺体はそのまま、お墓に納骨される風習がありました。
ご遺骨とは違い、自宅に安置し続けることはできませんよね。
この風習の名残りから、沖縄では今も葬儀後すぐに納骨するしきたりに、でくわすことがあります。
・門中墓など、納骨先が決まっている
・干支の適した人(相の合った人)がお墓を開ける
・お墓の入口付近「シルヒラシ」に納める
…沖縄では葬儀後に納骨するしきたりがありましたが、法的に火葬を行うようになった現代の沖縄では、本州の風習に倣い、シジュウクンチ(四十九日)まで遺骨を自宅に安置する家も増えました。
特に納骨先のない遺骨は、シジュウクンチ(四十九日)を目途に準備する家は多いでしょう。
また「相の合った人」とは、亥年や戌年などと言われますが、地域や門中によってさまざまです。
・【沖縄の葬儀】喪主が葬儀後、四十九日法要までに行う5つの事柄|その1
沖縄の野辺送りは引き潮
●まだ野辺送りがあった頃、沖縄では引き潮を目安に行っていました
「野辺送り(のべおくり)」とは、墓場まで棺や遺骨を送る儀式です。
全国的にも地域によって独自の風習がありますが、沖縄でも黒傘を差したり、七つ辻を通るなど、沖縄の独自の葬儀のしきたりがあります。
特に引き潮に合わせて野辺送りを行うしきたりは、割と最近まで見受けました。
沖縄では「人の死は、潮が引いて行くようだ」と思われていたためでしょう。
・引き潮に合わせる
・七つの辻(十字路)を通る
・黒傘を差す
・行きと帰りで道を変える
…と言うのも野辺送りには故人の葬送の他、あの世とこの世を分ける意味合いがあったこと(行きと帰りで道を変える)、神道で死は穢れとする「死穢(しえ)」の考え方があったため、遺体を神様に見せないしきたり(黒傘)があったのです。
・沖縄の納骨式ならではの5つのしきたりとは?沖縄と本州で違うお供え物は?
沖縄では法事にも豚肉を供える
●沖縄では枕飾りのお供え物に、豚肉料理が供えられます
独自の御願文化を持ち、檀家制度が根付いていない沖縄では、仏教の教えと沿わないしきたりも多くあります。
特に殺生を連想させるとして、肉や魚をタブーとする仏教の教えではあり得ない豚肉ですが、沖縄では神様ご先祖様へご馳走として、枕飾りのお供えで見受ける点は、驚く人が多いです。
●豚肉料理は沖縄のスーコー(焼香)では定番
①枕飾りの「シラベーシ」
…豚肉を茹でただけのお供え物で、茹でた豚肉を七枚供えます。
②スーコー(焼香)での豚の三枚肉の煮つけ
…スーコー(焼香)で供える重箱料理に盛りつけられます。
「スーコー(焼香)」とは全国的な法要を差し、沖縄ではスーコー(焼香)で重箱料理を供えますが、その中央に良く盛りつけられているのが、豚の三枚肉の煮つけです。
昔から沖縄のご馳走のひとつとされ、お祝い事でも豚の三枚肉の煮つけが重箱料理に盛りつけられますが、盛りつけ方に違いがあります。
・スーコー(焼香)…豚肉の皮を上に盛りつける
・お祝い事…豚肉の皮を下に盛りつける
ちなみに「お祝い事」のなかには、同じスーコー(焼香)でも年数が経った、ニジュウグンチ(二十五年忌)やサンジュウサンニンチ(三十三年忌)の他、お墓参りの年中行事シーミー(清明祭)も含まれているので、注意をしてください。
・沖縄のスーコー(焼香)とは。本州で行う法要との違いや、行う年数を解説
沖縄の葬儀は、御香典金額が少ない
●沖縄の通夜や葬儀は、御香典金額の相場が比較的少ないです
全国的な御香典相場と比較して、沖縄の通夜や葬儀で包む御香典相場が少ない点も、本州の人々が戸惑う場面かもしれません。
沖縄では四十九日まで七日ごとに執り行う「ナンカスーコー(七日焼香)」が執り行われ、奇数週は弔問客を受け入れてきました。
弔問客は参列の度に御香典を包むため、負担の少ないように一回に包む御香典金額が少なくなったと言います。
①全国的な御香典金額
・友人知人で約5千円~1万円
②沖縄の御香典金額
・友人知人で約1千円~3千円
・職場など、連名の御香典も多い
・御香典金額を自治体で統一する地域もある
また沖縄の葬儀のしきたりとして、「不幸が重ならないよう、多くの札を重ねない」とも言われてきました。
いずれにしても近年では、ナンカスーコー(七日焼香)をシジュウクンチ(四十九日)まで繰り上げて行う葬儀が増え、葬儀社に依頼して本州式の葬儀を執り行う家が増えました。
・【沖縄の葬儀マナー】御香典とは?沖縄式と本州式、金額に迷った時の判断基準
最後に
以上が昔ながらの沖縄の葬儀に見る、独自のしきたりです。
今でも離島や地方などでは、このような沖縄ならではの葬儀のしきたりが残る地域もあるでしょう。
けれども最近では、多くの家で葬儀社にサポートを依頼する葬儀やスーコー(焼香)が増えました。
昔のように檀家制度の根付いていない沖縄で、自宅で行う葬儀のなかで行ったしきたりでもあるので、近年では全国的な葬儀マナーに倣うものも多いです。
・【沖縄の葬儀】喪主が行う通夜まで5つの事柄。葬儀社・僧侶と打ち合わせ
まとめ
沖縄ならではの葬儀のしきたりとは
・読経供養のないお通夜もある
・火葬後に行う「骨葬」が多い
・葬儀当日の納骨が多い
・弔事にも豚肉を供える
・御香典金額が全国の相場よりも少ない