お葬儀の豆知識
【沖縄の葬儀】喪主が行う通夜まで5つの事柄。葬儀社・僧侶と打ち合わせ
家族が亡くなったら、沖縄に限らず葬儀は通夜の準備までがバタバタしますよね。
現代では斎場の安置室の機能も充実し、沖縄では7日後の通夜や葬儀も見受けますが、基本的には家族が亡くなったら、当日の夜には病院の霊安室からご遺体を搬送し自宅などに安置し、沖縄でも翌日には通夜となります。
この短い時間に、ご遺体の搬送や安置はもちろん、ご遺族は喪主決めや葬儀の打ち合わせ、僧侶の手配まで進めなければなりません。
今回は、沖縄の葬儀で通夜までにご遺族が行う、5つの事柄をお伝えします。
【沖縄の葬儀】喪主が行う通夜まで5つの事柄。葬儀社・僧侶と打ち合わせ
沖縄で通夜までに行う5つの事柄とは
2022年現在、地域やタイミングによっては火葬場がいっぱいで、ご遺体を安置したまま7日間ほど待つ状況もありますが、一般的な昔ながらの葬儀では家族が亡くなったら、ご臨終当日にご遺体を病院の霊安室から搬送し、翌日の夕刻には通夜を行います。
ですから昔ながらの沖縄の通夜であれば、24時間ほどの間に下記の事柄を進めなければなりません。
(1)喪主を決める
(2)ご遺体の安置
(3)葬儀日程を決める
(4)葬儀の形式、場所を決める
(5)僧侶との打ち合わせ
御病気で亡くなった場合にも、ご遺族にとってはいつでも突然のショックです。
今では同居家族がご夫婦二人のみ、子ども達も遠方に暮らしているなどの事情が垣間見えますが、近隣の人々や知人友人、葬儀社スタッフなど、さまざまな人々に上手に頼りながら、精神的・肉体的負担を軽減し自愛して進めてください。
それでは、上記5つの事柄について、より具体的な内容をお伝えします。
(1)喪主を決める
家族が亡くなったら、危篤状態から集まっている場合には、配偶者の他にもご親族がいることでしょう。
葬儀社を決めるなど、誰かが先導し、短時間で決断しなければならない事柄が続きますから、早い段階で喪主を決め、状況により施主を立てる必要があります。
(1)喪主を決める
(2)施主を立てるかどうか
ご自宅で危篤になったら救急車を呼びますので、いずれにしても病室で医師によりご臨終を伝えられます。
病院ではご臨終が確認されると霊安室へご遺体を運びますので、この時に決めると良いでしょう。
・【家族が亡くなったら】自宅で死亡していたら救急車、警察どっち?
(1)喪主を決める
沖縄のお通夜や葬儀で喪主は、故人と血縁関係の深い人から決めます。
ただ慣習であり法的には決まり事はないので、高齢で家族がいない場合などは、自治会の人や地域にある寺院のご住職が喪主を勤める事例もありました。
(1)配偶者
(2)子ども
(3)両親
(4)兄弟姉妹
上記の順番で喪主を決めるのが一般的ですが、大切な家族を亡くしたショックで、喪主の挨拶などを勤める自信がない、などの場合には、前述したように、あくまでも慣習なので、優先順位を飛び越えても構いません。
・【葬儀の進め方】喪主は誰がなる?通夜や葬儀で喪主がやること
(2)施主を立てるかどうか
もしくは喪主とともに施主を立てる方法もあります。
「施主」とは実質的な主催者を差し、例えば配偶者である喪主が高齢だった場合、子どもが施主を勤めて、葬儀の進行を進める事例が多いでしょう。
考え方として喪主はご遺族の代表者、施主は法要・法事の費用を出した人、と言う家や地域もあります。
(2)ご遺体の安置
沖縄で通夜の前に行う、最も大きな事柄はご遺体の搬送・安置ではないでしょうか。
病院の霊安室は込み合うことが多いため、移動して数時間~長くても24時間以内には、ご遺体の搬送をしなければなりません。
(1)安置場所を決める
(2)搬送を依頼する
(3)搬送/安置
(4)枕勤め
ご遺族が自家用車でご遺体を搬送することもできなくはないですが、一般的には葬儀社に依頼して搬送してもらいます。
(1)安置場所を決める
ひと昔前の沖縄では通夜や葬儀を自宅で執り行ってきたので、一般的にご遺体は自宅に搬送されました。
けれども現代の沖縄では通夜から葬儀まで、葬儀会館を借りて行う流れが一般的です。
●この場合、ご遺体の安置室が常設している葬儀会館が多いので、病院からご遺体を搬送する時点で、葬儀会館の安置室へ搬送する流れになるでしょう。
もちろん沖縄では今も通夜や葬儀を自宅で行う「自宅葬」が残る地域もあります。
この場合には、ご自宅への搬送を依頼してください。
・【沖縄の葬儀】自宅で葬儀を行う「自宅葬」。メリットデメリットと5つの手順
(2)搬送を依頼する
搬送は搬送車がある葬儀社に依頼するのが一般的です。
病院が提携する葬儀社もありますが、搬送をお願いした葬儀社に、沖縄ではその後の通夜や葬儀までサポートしてもらう流れが多いでしょう。
そのため病院にご遺体が安置されている時間内に、複数の葬儀社を検討して、より信頼・納得できる葬儀社を選ぶ家も少なくありません。
・【沖縄葬儀社の選び方】葬儀社4種類のメリット・デメリット<その1>
(3)搬送/安置
葬儀社を決めて準備が整ったら、ご遺体を搬送し安置してもらいます。
安置後に枕飾りが整ったら、僧侶に「枕勤め」を依頼することになるでしょう。
葬儀社が僧侶まで手配・紹介しくれることが多いですが、近隣寺院のご住職や、信仰する寺院があれば、個人でご住職へ報告し依頼します。
(4)枕勤め
「枕勤め(まくらづとめ)」とは枕経(まくらきょう)とも言い、故人が亡くなった後、枕飾りの前で(個人のお顔の横で)、お経を唱えるお供養です。
ただ沖縄では独自の信仰があるため、必ずしも枕勤めを行う訳ではありません。
(3)葬儀日程を決める
ご遺体の安置を終えて枕飾りが整い、枕勤めが終わったら、沖縄ではそのまま僧侶と通夜や葬儀の打ち合わせに入ります。
(1)僧侶と打ち合わせ
(2)葬儀社と打ち合わせ
仮に自宅にご遺体を搬送/安置した場合、あまりに長いとご遺体の保全が難しい状況もあるため、自宅葬を希望するならば、昔の沖縄同様、翌日に通夜・翌々日に葬儀の流れが安心です。
ただ前述したように、2022年現在の沖縄では火葬場がひっ迫し数日待ちのタイミングもあるでしょう。
この場合は安置場所を検討してください。
昔と今の葬儀日程
昔の沖縄では通夜や葬儀は、一般的に翌日からの日程でした。
家族が亡くなると一晩は自宅に安置して、沖縄では翌日の夕刻から通夜、翌々日の葬儀と告別式、そのまま火葬の流れです。
・故人の死亡時刻
・暦
・火葬場や斎場の空き状況
けれども今では葬儀日程も多様になりました。
斎場の安置室が充実したことで、7日間以上経ってから、沖縄では通夜や葬儀をゆっくりと行う事例も増えています。
・ご臨終当日の通夜
・通夜を省いた、翌日の一日葬
…なども増えましたが、特に沖縄ではご遺族のみで先に火葬を済ませ、焼骨した骨壺を前に葬儀を行う判断が増えました。
(4)葬儀の形式、場所を決める
続いて沖縄で通夜や葬儀を行う場所や葬儀の規模、形式などを検討します。
以前の沖縄では葬儀の規模が大きいことで有名でしたが、今では、故人や喪主の高齢化やコロナ禍の影響もあり、家族のみでしっぽり行う家族葬も増えました。
(1)葬儀の形式について
(2)葬儀の場所
先に葬儀の形式を決め、その規模に合わせて葬儀会場を決めると良いでしょう。
・【沖縄での葬儀の進め方】葬儀社との打ち合わせ。決める5つの項目
現代に増える、さまざまな葬儀の形
前述したように、以前の沖縄では通夜は家族や近しい関係者で行うものの、葬儀自体は100人を超える大規模のものが一般的でした。
そのため新聞の訃報欄に葬儀会場や日程を記載するのが慣習にもなっていますが、最近ではご遺族の負担を減らした、心重視の葬儀の形が選ばれるようになっています。
(1)家族葬
(2)自由葬
(3)一日葬
(4)自宅葬
(5)花葬(音楽葬)など
(6)ホテル葬
特に檀家制度(※)がある本州では、仏教に基づいた葬儀が当たり前にもなっていますが、沖縄では読経供養を行わない葬儀「自由葬」もしばしば選ばれる傾向です。
また最近の沖縄では、通夜や葬儀を行わず、御香典を辞退する代わりに、会費制で行うホテル葬なども見受けるようになりました。
・【葬儀の種類】家族葬や一般葬・一日葬など、規模が違う7つの種類
(5)僧侶との打ち合わせ
本州では今も檀家制度が根付く地域が多いため、菩提寺のご住職に相談をしますが、沖縄ではそもそも檀家制度が根付いていません。
多くは葬儀社から紹介いただいたり、近隣の寺院のご住職や、インターネットの僧侶派遣などを利用する事例が多いです。
(1)僧侶の人数
(2)戒名をどうするか
(3)お布施について
また現代の沖縄では通夜や葬儀も仏教に倣い進めますが、故人の享年については仏教宗派により考え方が変わることがありますので、確認すると良いでしょう。
沖縄で通夜や葬儀の後にお斎(おとき=会食)を振る舞う場合、僧侶には参加の有無も確認し、不参加の場合は、お布施とともに「御膳料」として3千円~5千円ほどを包みます。
(1)僧侶の人数
仏教の教えでは葬儀でお経を唱える僧侶の人数は、基本的には二名とされます。
僧侶に相談しながら進めますが、僧侶が二名いらっしゃることはあるでしょう。
ただ、一般的に僧侶が二名になったからと言って、お布施が二倍になる訳でもありません。
(2)戒名をどうするか
昔ながらの沖縄位牌では、一般的に生前の俗名を木札に書き入れます。
また本州では寺院墓地にお墓を建て、特定の寺院を信仰する「檀家制度」がありましたが、沖縄では檀家制度の歴史がありません。
そのため生前に戒名を授かるものですが、現代では人が亡くなると戒名を授かる慣習が全国的にできました。
独自の御願文化を育んできた沖縄では、必ずしも戒名をいただく習慣はありませんが、今では全国的な習慣に倣い、家族が亡くなると戒名をいただくことが増えました。
一方で全国的には檀家から離れる「離檀」により無宗教になる家が増えています。
そのため戒名のあるなしは、沖縄では家の判断にもよるでしょう。
・【沖縄での葬儀の進め方】戒名はつける?位で違う戒名料金の相場
(3)お布施について
お布施は御香典とは違うため、基本的に白い厚手の封筒にお金を包み整えます。
表書きは「お布施」で良く、沖縄の通夜や葬儀であっても黒墨を用いてください。
お布施に包む金額に迷ったら、直接僧侶に伺っても良いでしょう。
ただし仏教の教えとして、お布施は読経供養のお礼や料金ではなく、仏教の修行のひとつ「布施行」に当たるため、伺い方には注意をした方が良さそうです。
・お礼
・お経料金(回向料)
・支払い
…などなどの言葉使いは避け「みなさまどれくらいお包みになっているでしょうか?」などと尋ねると良いでしょう。
・【沖縄の葬儀マナー】お布施の包み方と渡し方、施主が押さえる5つのマナー
最後に
いかがでしたでしょうか、今回は沖縄で通夜までにご遺族が進めるべき5つの事柄を、時系列でまとめてみました。
相続に当たり、葬儀費用は故人の財産から費用を出すことが可能です。
けれども家族が亡くなると、ご遺族の相続配分を決める「遺産分割協議」が終わるまで、故人の銀行口座は凍結されるため、ご遺族が立て替えることも少なくありません。
キャッシュカードで引き出すこともできますが、他の相続人の了承を得るなど、複雑でもあります。
一般的に葬儀費用は葬儀を終えた後、御香典から支払うケースが多いですが、コロナ禍中でもあり、また御香典辞退の葬儀も増えていますので、最初に予算を決めてから葬儀社との打ち合わせを進めると安心です。
まとめ
通夜の前に行う5つの準備とは
(1)喪主を決める
(2)ご遺体の安置
(3)葬儀日程を決める
(4)葬儀の形式、場所を決める
(5)僧侶との打ち合わせ