思い出すこと今から約５０年前のある日、私がデパートで働いていた20代後半のころ、ある友人に「花輪業の経営を一緒にしないか」と相談を持ち込まれたことが、葬祭業界に足を踏み入れる最初のきっかけでした。

友人の話を聞き、業界をリサーチしたところ、県内では組織的に運営している葬儀専門業者は見つからず、社員数名の家族で経営している企業が数えるくらいしかないとても小さな業界でした。

当時のお葬式は葬儀社が取り仕切るのではなく、地域の行事として地域の方々が扶助の精神と執り行うという認識が強く、部落の人たち同志で日よけテントを立てたり、炊き出しをしたりして地域で行うことが主流でした。

葬儀社もどちらかというと、葬儀社という概念ではなく、葬儀用ギフトを販売する形態に近かったかもしれません（笑）。

起業は、現在の弊社の本社の場所に建っていた古民家の一角（７坪）を借りて３名でスタートしました。

当時の事務所は窓ガラスが割れ、蜘蛛の巣が張っていたことを今でも覚えています。

たしか昭和４９年９月、丁度、私が２９歳９か月のころでした。

その後、起業して一年を待たずにして二人の同志は意見の相違により退職し、途方に暮れたことを覚えています。

起業した当初は沖縄県が本土復帰して間もない時期で、社会・政治・経済・文化がどう変化していくのかまだ先が見えない部分が強く、創業の厳しさをしみじみ知らされた時期でもありました。

しかしながら、知人・友人や家族の支えと多くの方のご理解とご協力もあり、「必ずや何とかできる」という気概を持ちながら経営を立て直し、ここまで維持することが出来ました。

昨今、核家族の増加、人と地域とのつながりの希薄化、またはコロナ禍の影響などで、身内だけで行う家族葬や小規模なお葬式が増えております。

　葬儀の形態も自宅での葬儀からお寺での葬儀に変化し、会館で葬儀をする時代に変化しており、その時その時の時代の変化に合わせて葬儀のあり方や形も常に変化してきました。

しかし私が約半世紀ほど葬儀業界をずっと見ていて感じることは、時代の変遷はあれど、葬儀の本質は全く変わっておりません。

葬儀の本質とは「人を想うこと」です。その想いはどんなに時代が変わっていても常に葬儀の現場で常に存在し続けています。

私たち葬儀社は「不易流行」という言葉があるように変えて良いものと変えていけないものを見定め、常に「いい葬儀とは何なのか。」を日頃から問答し常に考え続けなければいけません。

それが、私ども葬儀社が社会に求められている使命感です。

これからも弊社は更なる成長を追い求めながら、地域に求められる存在であり続けていきたいと存じます。

今後とも弊社をご利用される皆さまの平穏と繁栄が永続的に続くことを願いまして、私の挨拶とさせていただきます。合掌。

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