お葬式の豆知識
葬儀保険とは?仕組みと生命保険・互助会との違いを徹底解説
人生の最期を迎えるとき、避けて通れないのが葬儀の準備です。近年では、あらかじめ葬儀費用を補填する目的で「葬儀保険」に加入する人が増えてきました。「生命保険があれば十分では?」と思われがちですが、実は葬儀保険には独自の特徴やメリットがあり、高齢者や終活中の方を中心に注目されています。
この記事では「葬儀保険とは何か」を軸に、その仕組みや生命保険・互助会との違いを分かりやすく解説します。
葬儀保険とは何か?
「葬儀保険」とは、葬儀にかかる費用を補うことを目的とした保険です。葬儀には火葬場の費用、お寺へのお布施、戒名料、会場設営費用など多岐にわたる出費が発生します。こうした支出をサポートするために設けられたのが「葬儀保険」であり、少額短期保険という形式で提供されることが一般的です。
<少額短期保険とは>
●保険金額の上限は1,000万円まで
・掛け捨て型(解約返戻金なし)
・加入が手軽(診断書不要のものも多い)
・保険金の支払いが迅速
「少額短期保険」は、一定の範囲内を賄う保険で、保険金額の上限が1,000万円以下に定められています。葬儀は突然の出費になりやすく、故人の口座が凍結されて引き出せないことも多いため、手軽かつ迅速に使える葬儀保険は大きな安心材料となります。
葬儀保険が向いている人
葬儀保険は、その名のとおり「葬儀費用」に特化しており、生命保険のように大きな保障額や貯蓄機能はありません。したがって、次のような人に向いています。
<向いている人の特徴>
・葬儀費用だけを補いたい人
・高齢で生命保険への加入が難しい人
・家族・血縁がいない人(友人に葬儀を依頼するなど)
・終活を進めており、自分の葬儀を準備しておきたい人
保険会社各社からは、さまざまな種類の葬儀保険商品が出ています。保険料も月数百円~数千円と手ごろで、90歳近くでも加入できる商品もあるため、終活中の高齢者を中心にニーズが広がっています。葬儀保険の金額も設定できるので、ムリのない範囲で契約できる、自分に見合ったプランを選びましょう。
生命保険との違い
葬儀保険と生命保険は「死亡に備える」という意味では似ていますが、目的や仕組みが大きく異なります。葬儀保険は少額短期保険のひとつなので、生命保険とは違い、解約返戻金はなく、少額を扱う一方、月々の保険料や加入要件は緩く、手頃に加入できます。
<お墓や仏壇の購入> | ||
[特徴] | [葬儀保険] | [生命保険] |
①加入要件 | ・緩い (医師の診査が不要) |
・厳しい (医師診査、告知義務) |
②加入年齢 | ・緩い (満89歳など) |
・厳しい (満75歳など) |
③保険金額 | ・少ない (上限がある) |
・多い (解約返戻金) |
④月々の保険料 | ・少ない (掛け捨て) |
・多い (貯蓄機能がある) |
⑤更新システム | ・1~2年で更新 | ・終身保険も扱う (解約しない限り保障が続く) |
生命保険は「遺された家族の生活支援」などを含むのに対し、葬儀保険は「葬儀そのもの」の支払いに使うというピンポイントな補償です。葬儀保険か生命保険かを検討する目安としては、高齢で葬儀費用のみをカバーしたいのか、若いうちから加入して、家族に一定以上の財産を遺したいのか、で判断すると良いでしょう。
ただ、葬儀保険と生命保険は、自身に万が一の出来事が起こった際、金額の大小はあっても、家族に保険金を残すという点で、共通点もあります。
互助会との違い
互助会も葬儀に関する支援を行っているため「どちらを選べば良いのか?」と悩む人も多いですが、互助会は会員同士の助け合いを前提とした“積立”形式である点が大きな違いです。
<互助会の仕組み>
・月々一定額を積み立てておく
・加入者が指定の葬儀社でサービスを受ける
・契約時のプラン内容が固定されている
・解約時には返金制度がある場合も
一方、葬儀保険は掛け捨て型で、受け取った保険金を自由に使える点がメリットです。たとえば、葬儀社を自由に選んだり、家族の希望でアレンジを加えたりできるのは、葬儀保険ならではの特徴です。
葬儀保険を選ぶかどうかの判断軸
以下のような基準で、葬儀保険が自分や家族に合っているかを判断できます。
・費用をピンポイントで補いたい → 葬儀保険が適している
・家族全体の将来まで支援したい → 生命保険を検討
・特定の葬儀社での施行が前提でも良い → 互助会も選択肢
また、すでに生命保険に加入している人も、葬儀費用の即時支払いに対応しやすい“補助的な備え”として、葬儀保険を活用することも可能です。
まとめ
葬儀保険は、“そのとき”のために経済的な不安を軽減するシンプルな保険商品です。生命保険や互助会とは目的や運用方法が異なり、特に高齢者や終活を意識している方には現実的な備えとなります。
自分や家族の状況、経済環境、希望する葬儀のスタイルに応じて、どの制度が適しているのかを見極め、必要な備えを整えていきましょう。