お葬式の豆知識
宗派による数珠の持ち方や数珠の特徴、気をつけるべきマナーとは?
琉球王国時代から独自の文化を歩んできた沖縄では、葬儀に数珠(じゅず)を持つという習慣がありませんでした。近年では本土式の葬儀が行われたり移住者が増えてきたりしたことで、葬儀や法事に数珠を持参する参列者が増えています。今後行われる葬儀が本土式だったり、これからは数珠を持っていきたいと思っている方のために、今回は、宗派による数珠の持ち方の違い、宗派ごとの数珠の特徴、数珠を持つ際に気をつけるべきマナーについて解説していきましょう。
宗派による数珠の持ち方の違い
<沖縄の葬儀:数珠の持ち方>
①片手に掛ける…曹洞宗/臨済宗
②両手に掛ける…浄土真宗
③手首に掛ける…真言宗
数珠には本式と略式がありますが、略式数珠は全ての宗派に対応できるあくまでも略式のものなので、「必ずそうでなくてはならない」と言った決まり事ではありません。また、沖縄の葬儀では気にする人は少ないですが、数珠には主に下記のように3つの持ち方があり、本土では宗派によって推奨する持ち方が分かれます。
沖縄では、葬儀会場を利用した一般葬が昔ながらの一般的な葬儀として認識されていますが、沖縄の一般葬といえば、新聞の訃報欄に葬儀会場や日時などの情報を掲載し、大勢の人々が弔問に訪れる形式で知られています。
ただ、規模の大きな一般葬を行うことは遺族に大きな負担をかける上、新型コロナの影響もあり、よりシンプルで心の葬送を重視したプランが求められることが多くなりました。以下は、近年沖縄でニーズの高い7種類の葬儀です。
①片手に掛ける
数珠は基本的に左手に掛けて扱います。左手の親指と人差し指の間に輪を掛けた状態で、右手を添えるようにして、そのまま合掌してください。この時に数珠の輪は4本の指から、左手の甲に掛かっています。
②両手に掛ける
合掌した両手に数珠を掛け、親指で押さえた状態です。この時に数珠の輪は4本の指から、合掌した両手の甲に掛かっています。
③手首に掛ける
左手の手首に掛けたまま合掌します。この時に数珠の輪は、左手の手首に掛かったままです。
▼天台宗
├①お念珠を、人差し指と中指の間に掛けます。
└②そのまま合掌します。
▼真言宗
├①両手の中指でお念珠を掛けます。
├②そのまま合掌します。
└③房は自然と垂らします。
▼浄土宗
├①2つある輪の親玉を揃えます。
├②合掌した手の親指に掛け、房は手前に下げます。
└③また、浄土宗内の宗派によっては、房を外側に下す持ち方をします。
▼浄土真宗
├本願寺派(お西):お念珠を二重にし、合掌した手に掛け、房を下に垂らします。
└大谷派(お東):二重にしたお念珠の親指と人差し指の間ではさみ、房は左手側に垂らします。
※男性用の浄土真宗のお念珠は、基本的に片手数珠の持ち方と同じです。
▼曹洞宗
├①念珠を二輪にし、左手に掛けます。
└②そのまま右手を合わせ、合掌します。
▼日蓮宗
├①念珠の輪を8の字に捻じり、中指に掛けます。
├②右手に二本に房、左手に三本房が来るように持ちます。
└③そのまま合掌します。
沖縄の葬儀で「どの数珠の持ち方が良いのか」と迷った場合、宗派が分かればそれにならい、分からない場合は臨済宗に従うのが無難でしょう。
各宗派ごとの数珠の特徴
数珠は、宗派によって持ち方だけではなく形も違います。それぞれにどのような形の違いがあるのでご紹介していきましょう。
①天台宗…平珠が多く、主珠108個、親珠1個、四天4個で構成されているのが特徴です。2本の房には、それぞれ平珠20個、丸珠10個が付いています。
②真言宗…真言宗では数珠の意味を重要視しているため、108と言う数を金剛界の百八尊、親玉は大日如来の智彗を表し、四天は宇宙を表現した曼陀羅の四方四仏という解釈をしています。
③浄土宗・時宗…僧侶が儀式のときに使う荘厳数珠、数取りのできる日課数珠などがあります。日課数珠には二連の輪違いの数珠が多く用いられています。
④浄土真宗…念仏を唱えることを修行とは考えないので、真宗に数取りができない「連如結び」という紐の結び方があります。
⑤曹洞宗…禅宗では「出入りの息をもって念珠となす」として座禅を重んじているため、数珠に作法の規定がありませんが、環がついている数珠が多いのが特徴です。
⑥日蓮宗…他の宗派にはない祈祷用の数珠が多く、特に房の組み方と寸法が他の宗派とは異なるのが特徴です。
沖縄ではそれほど意識することはないと思いますが、本土で葬儀に呼ばれることがあれば覚えておくとよいでしょう。
数珠を扱う3つのマナーは?
数珠を扱う際の3つのマナーについても知っておきましょう。数珠には①貸し借りをしない ②直置きしない ③袋に入れて持ち歩く、という3つのマナーがあります。基本的に、持ち主は数珠によって仏様への帰依を表し、仏様と繋がりますので「私と仏様を繋ぐもの」として大切に扱うことを念頭に置けば、それほど間違えた扱いはないでしょう。
<数珠を扱う際のNGマナー>
①貸し借りをしない
②直置きしない
③袋に入れて持ち歩く
数珠は持ち主と仏様の絆でもあり、個人の念も込められています。そのため例え、家族であっても数珠の貸し借りはNGです。また床や椅子、畳などに数珠を直置きせずに、仏様として大切に扱ってください。持ち歩く時にも、お焼香の際は左手首に掛け、その他では数珠袋などに入れて持ち歩くと良いでしょう。
まとめ
以上が、沖縄の葬儀で数珠を持参する時に知っておきたい、基本的な数珠の持ち方や選び方、基本的な扱い方のマナーでした。お焼香以外の場所では、数珠を数珠袋などに持ち歩くと記しましたが、葬儀会場では肌身離さず持ち歩く人も多いため、手で持っても、バッグやポケットに入れても構いません。
また、数珠は基本的に穢れを祓う役割もあるもので、まれに数珠が切れることもありますが、それは邪気や不幸を吸収したために切れた、壊れたと捉えてください。決して不吉の兆候ではないことを覚えておきましょう。