お葬式の豆知識
戒名とはいったいどんなもの?知っておきたい豆知識
沖縄では先祖代々位牌であるトートーメーに俗名を書き入れていたため、そもそも亡くなった人に戒名を付けるという風習はありませんでした。ただ、近年では葬儀社に本土式の葬儀を依頼することが増えたことで沖縄でも戒名を付ける人が増えてきました。では、そもそも戒名というのはどのようなものなのでしょうか?今回は戒名についての豆知識をお伝えしていきましょう。
そもそも戒名とは?
仏教の考えでは、人が亡くなると仏様の弟子になるとされるため、仏弟子としての名前として与えられる名前が戒名となります。また生きている間の名前、つまり今名乗っている名前は俗名と呼んで区別をしています。戒名を付けるのは菩提寺の僧侶が付けるという習わしなのですが、沖縄にはもともと檀家制度がないため、菩提寺というものがないという家も少なくありません。
戒名を付けるには菩提寺が必要?
本土では江戸時代から集落に立つ寺院に家ごと入信し、その寺院墓地にお墓を建て、供養に関することを相談する檀家制度がありました。そのため、菩提寺(寺院墓地を管理する寺院)のご住職に戒名をいただいて、初めてご遺骨をお墓に納骨できるようになります。もともとの戒名の習わしから考えると、沖縄では「菩提寺がないのに戒名を付けて良いの?」といったことも言われますが、菩提寺がなくても問題はありません。
ただ、日本にはさまざまな仏教宗派があり、宗派によって戒名の付け方や名称も違います。宗派によっては、法名や法号とも呼ばれることがあるので、沖縄で菩提寺のない人が戒名を付ける場合にはどの仏教宗派の僧侶へ依頼するかを決める必要があります。
宗派で違う、戒名の構成
沖縄で戒名を付ける場合、菩提寺がなければ葬儀の前に仏教宗派を決めることになりますが、浄土真宗とそれ以外の宗派で構成が変わると考えておきましょう。ただし仏弟子としての部分はどれも二文字です。これは「仏の前ではみな平等」を意味するもので、全ての名前に上下関係はありません。
<戒名の宗派による違い>
①浄土真宗…道号、位号は用いない
・道号(どうごう)→生前の徳を表す
・位号(いごう)→位
※仏の前ではみな平等なため
②浄土宗…誉号(よごう)を道号の前に付けることもある
③天台宗、真言宗…最初に梵字を加えることもある
ちなみに多くの宗派で位牌やお墓に戒名を彫刻する際、戒名の後に「霊位」や「位」などを添えますが、これは「置き字」と言います。
有名な人の戒名は?
浄土真宗とそれ以外の宗派で、興味深い2例の戒名をご紹介します。
<宗派で違う戒名の一例>
①浄土真宗…「院号+釋(仏の姓)+法名」
松本清張の法名…「清閑院 釋 文帳」
②浄土真宗以外の宗派…「院号+道号+戒名+位号」
夏目漱石の戒名…「文献院 古道 漱石 居士」
ここでお伝えしたいことは、仏教において仏の前ではみな平等であることに変わりはなく、院号や位号はあくまでも、仏教に熱心な信者であった、仏教において貢献度が高かったことを表します。生前の社会的な貢献度や地位、名声により戒名の位が変わる訳ではないという点を理解しておきましょう。
戒名にまつわるトラブルや思い違い
よくあるトラブルや思い違いとして一番に挙げられるのは、戒名に明確な価格表があるわけではないので、思いのほか高額に感じられる場合があります。できれば複数の寺院で見積もりを取って、事前に僧侶に確認を取ることができると良いでしょう。また、僧侶とのコミュニケーション不足によって、故人の個性や意思が反映されない場合もあります。そうしたことを防ぐために生前に戒名を付けておくといったことも可能で、しかも死後よりも金額が安くなる場合もあるので検討してみてはいかがでしょう。
戒名に関する誤解や疑問
◇戒名をつけない場合の影響
戒名がない場合の影響として、仏教式の法要や供養が正しく進められないというデメリットがあります。ただし、無宗教や沖縄の旧来のスタイルであれば俗名で進めることもあるので、葬儀社と相談しながら決めていきましょう。
◇「戒名は値段高いほど良い」の真偽
高額な戒名が「故人への敬意」や「家族の社会的地位」を示すという考えがみられることもありますが、戒名の本質は、故人の人柄や生き様を表すことであり、価格とは必ずしも比例しません。僧侶との相談次第で、リーズナブルでも心のこもった戒名がつけられるので、金額に囚われすぎないようにしましょう。
◇無宗教や他宗教の人はどうすべきか
近年では、音楽葬や自然葬など、個別の葬儀形式に合わせて戒名を省略する選択肢も増えています。そのような場合は法要は故人の俗名をそのまま用いて葬儀を進行することは可能です。またキリスト教であれば洗礼名などもありますので、仏教式葬儀を希望しない場合には、生前のうちに家族に希望を明確に伝えておくことが重要になってきます。
まとめ
戒名にまつわる豆知識はいかがでしたか?菩提寺があって宗派が決まっているのであれば戒名を付けるのはごく自然な事かもしれませんが、沖縄ではもともと戒名を付ける習慣が薄いため、俗名のまま葬儀を進めることもあります。どのような葬儀にしたいかによっても変わってきますので、生前からよく話し合って自身や家族がどのような葬儀を望んでいるのかを知っておきましょう。