お葬儀の豆知識
【沖縄での葬儀の進め方】戒名はつける?位で違う戒名料金の相場
近年の沖縄では戒名を付ける人が増えましたよね。
けれども以前の沖縄では戒名を付けない人が多かったのではないでしょうか。
先祖代々位牌であるトートーメーにも俗名を書き入れるものが多くありました。
けれどもそんな沖縄でも葬儀社に依頼するようになり、本州式の葬儀が増えることで、沖縄でも戒名をいただく人が増えています。
では沖縄で増える戒名ですが、そもどもどのような意味合いがあるのでしょうか?
今回は沖縄で増える戒名について、その意味合いや構成、位で違う戒名料金の相場まで、豆知識とともにお伝えします。
【沖縄での葬儀の進め方】戒名はつける?
位で違う戒名料金の相場
檀家制度のない沖縄と戒名
冒頭でお伝えしたように、以前の沖縄では戒名はそもそも付けず、トートーメーにも俗名を書き込んでいる家がほとんどでした。
これは他県と違い沖縄では寺院墓地にお墓を建てる風習がないためです。
江戸時代から集落に立つ寺院に家ごと入信し、その寺院墓地にお墓を建て、一切の供養事を相談する檀家制度がありました。
<沖縄で戒名がなかった理由>
(1)他県の場合
…菩提寺(寺院墓地を管理する寺院)のご住職に戒名をいただいて、初めてご遺骨をお墓に納骨できます。
(2)沖縄の場合
…個人墓地にお墓を建てる風習を持つ沖縄では、そもそも檀家制度がありません。
そのため沖縄では、戒名をいただかなくても納骨できます。
このような事情から、以前の沖縄では戒名を僧侶にいただかずとも、その後の納骨や供養に当たり不便がなかったのです。
けれども最近では、全国的な風習が入ったこと、そして葬儀や法要でも読経供養を行うようになったことで、沖縄にも戒名の習慣が付きました。
沖縄で戒名を付けるタイミング
沖縄で戒名は、納棺までの早いタイミングで付けてもらうことが多いでしょう。
四十九日に正式な本位牌(塗り位牌)が完成するまでに使用する、仮位牌であるシライフェー(白木位牌)に、僧侶に書いてもらいます。
もちろん四十九日以降の本位牌にも、同じく戒名を彫刻してください。
生前に寿陵墓や納骨堂を契約する場合
そのため現代では沖縄でも、生前に戒名を付ける場合があります。
<沖縄で生前に戒名を付けるケース>
(1)生前墓(寿陵墓)を建てる場合
(2)生前に納骨堂を購入する場合
…ただし生前にお墓を建てたり納骨堂を購入したからと言って、必ず必要な訳ではありません。
特に民間霊園で運営する納骨堂や生前墓(寿陵墓)であれば、特定の宗旨宗派でなくても構いませんので、亡くなってからでも俗名を彫刻しても良いほどです。
(実際に本州でも、無宗教のお墓では俗名を彫る人もいます。)
ただ寺院が管理する納骨堂の購入や、寺院墓地であれば、沖縄であっても戒名を付ける必要はあるかもしれません。(寺院により判断は変わります。)
そもそも戒名とは?
そのことから、沖縄では「菩提寺がないのに戒名を付けて良いの?」などの声もありますが、菩提寺がなくても問題はありません。
<戒名とは?>
(1)戒名…仏弟子としての名前
→仏教では人が亡くなると仏様の弟子になるとされます。
(2)俗名…生きている間の名前
ただ日本にはさまざまな仏教宗派があり、宗派によって戒名の付け方や名も違います。
例えば戒名は、宗派によって下記のように呼ばれるでしょう。
・法名
・法号
そのため沖縄で菩提寺のない人が戒名を付ける場合、どの仏教宗派の僧侶へ依頼するかを決める必要はあります。
宗派で違う、戒名の構成
沖縄で戒名を付ける場合、菩提寺がなければその時に仏教宗派を決めることになりますが、主に浄土真宗とそれ以外の宗派で構成が変わると考えてください。
ただし仏弟子としての部分はどれも二文字です。
これは「仏の前ではみな平等」を意味するもので、全ての名前に上下関係はありません。
<沖縄で戒名を付ける知識☆宗派による違い>
(1)浄土真宗…道号、位号は用いない
・道号→生前の徳を表す
・位号→位
※仏の前ではみな平等なため
(2)浄土宗…誉号(よごう)を道号の前に付けることもある
(3)天台宗、真言宗…最初に梵字を加えることもある
…また、多くの宗派で位牌やお墓に戒名を彫刻する際、戒名の後に「霊位」や「位」などを添えますが、これは「置き字」です。
有名な人の戒名は?
ここで浄土真宗とそれ以外の宗派で、興味深い2例の戒名をご紹介します。
<宗派で違う戒名の一例>
(1)浄土真宗…「院号+釋(仏の姓)+法名」
故松本清張の法名…「清閑院 釋 文帳」
(2)浄土真宗以外の宗派…「院号+道号+戒名+位号」
故夏目漱石の戒名…「文献院 古道 漱石 居士」
ただここでお伝えしたいことは、仏教において仏の前ではみな平等であることに変わりはなく、院号や位号はあくまでも、仏教に熱心な信者であった、仏教において貢献度が高かったことを表します。
生前の社会的な貢献度や地位、名声により戒名の位が変わる訳ではありません。
沖縄で戒名の料金相場
前項でお伝えしたように、全国的にも沖縄でも、生前の社会的な地位や名声により判断されるものではありません。
<沖縄で戒名を付ける☆本来の戒名>
●例えば生前に…、
・とても熱心に寺院の掃除や手伝いをしていた
・寺院などの建築物が台風などで壊れた時、お布施(寄付)をした
…などなど、生前の徳行によりより高い位をいただくものです。
けれども檀家制度のない沖縄はもちろん、全国的にも、寺院と人々の距離は遠くなり、金額に比例した戒名をいただく仕組みになっていることは、否めません。
沖縄での戒名相場
ただ沖縄で戒名を付ける時にはもともと檀家制度がないので、「菩提寺のご住職に依頼しなければならない」などの縛りはありません。
そのためよりカジュアルに、下記のような手段で沖縄では戒名をいただく人が多いです。
<沖縄で戒名を付けるのに多い手段>
(1)葬儀社に一任する
(2)インターネットで依頼する
沖縄でごく一般的な戒名を付けるのであれば、その相場は約3万円~5万円(信士/信女/釋/釋尼)が多いですが、戒名としては下位に当たるでしょう。
とは言え、全国的に菩提寺のご住職に依頼した場合、同じ位の戒名でも10万円~20万円以上掛かる場合もあります。
(寺院によって料金はさまざまです。)
沖縄でも位の高い戒名にこだわるならば、その相場は約10万円~30万円と見積もった方が良いでしょう。
寺院のご住職に依頼する
前項で全国的に菩提寺のご住職に戒名を付けてもらう場合、一番下の位でも約10万円~20万円が相場とお伝えしましたが、ここでは参考までに全国的な菩提寺による戒名相場をお伝えします。
このようなことから、寺院墓地にお墓を持たない沖縄では戒名を付けずに俗名のまま位牌やお墓を建てる人も少なくありません。
特に沖縄で個人墓などを建てる場合は、そもそもお墓に名前を彫らずに「永遠」や「思い出」など、抽象的な言葉を彫る選択が増えています。
最後に
以上が沖縄で増えた戒名の付け方や費用相場、戒名の意味合いですが、沖縄のトートーメーは戒名ではなく、俗名を書き入れるものが多いです。
檀家制度が根付いていない沖縄では、人が亡くなるとトートーメーの上札に夫の俗名、下札に妻の俗名が入ります。
もちろんその昔は檀家制度がないため僧侶に位牌に文字を書いてもらいませんから、一般的な民衆であれば、家の人が直接位牌札に俗名を書き入れました。
ただ今では、位牌も彫刻してもらいますし、沖縄でも葬儀社に手配してもらった僧侶に戒名を付けていただく流れが一般的です。
戒名料は葬儀の際、お布施や御車代、御膳代などと共にお渡しして良いでしょう。
沖縄で葬儀社に一任して戒名をいただいた場合、葬儀社からの見積もりに併せて入ることもあります。
※葬儀社の選び方については、下記をご参照ください。
・【沖縄葬儀社の選び方】葬儀社4種類のメリット・デメリット|その1
・【沖縄葬儀社の選び方】葬儀社4種類のメリット・デメリット|その2
まとめ
沖縄で戒名を付ける場合
・全国的には菩提寺のご住職に付けてもらう
・沖縄では葬儀社に手配してもらう
・納棺では戒名があると良い
・白木位牌に僧侶に書いてもらう
・戒名の位は生前の地位とは関係がない
・現代では戒名の位によって料金が変わる
・沖縄では俗名のままの家も多い
・沖縄での戒名料の相場は約3万円~30万円
・全国的な戒名料の相場は約20万円~100万円以上
(菩提寺のご住職に依頼した場合)